高精度ステンレスチューブ

手島精管株式会社  View Company Info

肉厚0.0381mm。それはオブラートよりも更に薄い。創業から44年、手島精管株式会社は医療用注射針を中心に高精度ステンレスチューブの製造で業界をリードしてきた。より細く、より肉薄に、よりなめらかに。医療の発展に伴いクライアントの要求も高度になる中、手島精管は「できないと言わない」を信条にしてきた。技術を磨き続け、今では月400種類もの高精度ステンレスチューブを生産している。医療用のみならず、工業用・バイオ関連などでも需要が高まるステンレスチューブ。手島精管は、これからも進化をやめない。

技術の鬼から管理の鬼へ 高精度ステンレスチューブのグローバル企業

1970年の創業以来、手島精管は一貫して医療注射針用ステンレスチューブを手がけてきた。注射の痛みが少なく、刺す精度も高い。鏡面のキメが細かく白血球を傷つけない。ISO9626で規定されたステンレスは、昔も今も注射針のスタンダードだ。手島精管はその特殊加工技術を常に進化させ、注射針用ステンレスチューブというニッチマーケットの中で、世界的な地位を築いてきた。

手島精管の転機は2002年。10年間アメリカで暮らしMBAも取得した現社長・手島由紀子が同社に加わり、さらなるグローバル企業への道を歩みだした。「先代の社長は技術の鬼だったが、私は管理の鬼だ」そう語る手島は、同社に完全オリジナルの生産管理システムを導入し、ISO9001/2008を取得。管理責任者となり製造ノウハウのデータベース化と、徹底した工程管理を社内に浸透させた。これに連動し、難易度の高い新規製品の製造法を編み出すプロジェクトを発足。社員一丸となって、より積極的に開発を進める体制ができあがった。「塑性加工は職人技で、湿度や温度でも変わるため、感覚によるところが大きい。しかし数値化できる要素もある。職人の部分を消すところ、残すところを見極めるのが大切だ」。こうして手島精管は、持ち前の技術に加え、それを確固たるものにする体制を構築。より精密、より高品質なステンレスチューブを提供している。手島は2013年に社長就任。同年に最新の設備や生産ラインを擁する新工場(ISO14000取得予定)も整備し、海外からの受注を大きく伸ばしている。

 

圧倒的な技術力で、超微細・幅広いラインナップ・小ロット・短納期を実現

長年の技術の蓄積から生まれる、これまでにない超微細ステンレスチューブ。なかでも注射針は人体に関わり、特に精度の高さが問われる製品だ。現在同社が製造するもっとも肉薄のステンレスチューブは、35ゲージの注射針。肉厚0.0381mm、外径0.127mm、内径0.0508mm、鏡面はSグレードのRa0.05に仕上がっている。「開発スタートから完成までトータル1年かかった。これを量産できる体制があるのはうち以外にない」と手島は語る。また、ここ数年はカテーテルの引き合いが増え、本格的に手がけるようになった。注射針とカテーテルは、医療の発展に合わせて規格が次々に変わる。手島精管ではその都度、さらに細く、さらに薄くといったニーズに応えている。医療分野では他に、脳、歯科、耳鼻科などで使う機器の部品も手がける。この分野では外径0.18㎜、内径0.07±0.002㎜という超微細ステンレスチューブの開発にも成功している。

ステンレスという素材、そしてチューブという形状。どちらも普遍的である分、ステンレスチューブの需要は、医療分野に限らない。手島精管が素材に使うステンレスは、ハイグレードなステンレス304を中心に100%メイドインジャパン。ISO9626にも規定されているため、スイッチングコストを考慮する上でも手堅い。チューブ加工も多くのバリエーションを用意しており、スウェージング、穴あけ、フレア、切削、溝、マーキング、接続、ねじり、曲げまで対応可能だ。そのため医療分野以外からのオファーも多く、工業用の電熱器の温度センサー、熱交換器ほか、バイオ関連の測定分析器、自動車部品、チョコレートノズルなどの食品機械、ワインオープナーにまで製品分野を広げてきた。

こうした全用途を合わせて、手島精管がひと月あたり生産するステンレスチューブは400種類ほど。量産はASEANで行われるようになった今日、その多くがチャレンジングな開発案件だ。ステンレスチューブ製造には10工程あるが、手島精管では小回りがきくようにあえて自動化はしていない。アレンジやセット替えにかかる時間を短縮して、小ロット・短納期で難しい規格の生産を実現させている。「1本1メーターから、どんな超微細ステンレスチューブでも短納期で生産できる。小ロットに対応できる体制は、万全に整っている」。手島は自信をにじませる。

 

ステンレスチューブから未来を見つめる

バリエーション豊かな業種から受注をする一方、手島が見つめる分野がある。これから医療分野が成長戦略を担っていくなかで注目を集めるバイオ、薬品関係などと密接な「ライフサイエンス」だ。病気になってから治すのではなく、病気になる前に防ぐ方向へ。「たとえば、血液には健康に関する様々な情報が含まれているため、毎日自分で血液検査をする機器なんてものもありうる。BtoCの健康測定器などで役立てれば、うれしい」。近年、医療機器のトレンドもライフサイエンス寄りになっており、手島は分析器のような早期発見を助けるデバイスへの貢献に意欲を見せる。

「難しい依頼もあるが、できないとは言わない。これまでずっと不可能といわれたものに向き合い、可能にしてきた。どうやったらできるかしか考えない」。より細く、より肉薄に、よりなめらかに。手島精管はグローバルな舞台でステンレスチューブの可能性を見つめ、手を伸ばし続ける。

手島精管株式会社

手島精管株式会社
業務内容 高精度ステンレスチューブの開発、製造
群馬県館林市下早川田町306-1
取締役社長 手島由紀子
設立 1972年
オフィシャルサイト www.teshima.co.jp/pc/index.html