プラスチックボールベアリング

プラスチックを使用した駆動部材、及び機械部品の製造販売

鹿島化学金属株式会社  View Company Info
Plactic Ball Bearings

15世紀、かの有名な天才、レオナルド・ダ・ヴィンチが世界で初めて木製のベアリング(軸受)をデッサンに残していたことを、皆さんはご存知であろうか。また、その100年後には、ガリレオ・ガリレイが現在使用されているボールベアリングの基礎となる技術を記述に残しており、軸受という機械部品の歴史は長い。産業革命の時代に基本構造が確立されて以降、軸受は機械のあるところに必ず存在し、現代では「産業の米」と呼ばれている。それは製造過程に使われる産業機械から、製品そのものの内部にいたるまで、多くの機械に組み込まれており、文明の根幹をなす物として、改良が加えられていった。

現在、世界トップクラスの軸受技術を持つ日本に、特殊な軸受を作る老舗メーカーがある。鹿島化学金属株式会社はこれまで金属で作られることの多かった軸受を樹脂で製造し、自社ブランド名で販売している。同社のプラスチックボールベアリング(PBB)は、医療機器を始めとする様々な機械や、金属が使用できない特殊環境下で利用されている。

耐水・耐薬・耐熱に優れたプラスチックベアリング

鹿島化学金属がプラスチックボールベアリングの製造を開始したのは今から30年近く前になる。創業者の鹿島静夫氏が妻の郷里を訪ねた際、漁港関係者から魚を運ぶベルトコンベアーが錆びてしまうと相談された。そこで、同氏は魚からでるアルカリに強く、海水でも腐食しない樹脂の導入を助言。自身で設計したPBBを製造したことが始まりだという。
現在、同社が手掛けるのは漁港関係だけでなく、食品加工から電子部品、半導体製造、はては医療現場まで多岐に渡る。樹脂は自己潤滑性を持つため、金属軸受に不可欠とされるオイル・グリスを必要としない。また、樹脂によっては薬品に耐性のあるもの、高温でも耐えうるものがあり、トップクラスの品揃えを持つ同社の製品が重宝されている。例えば、洗浄機や滅菌処理機では耐水性の他に耐薬性・耐熱性が必要とされ、通常の金属軸受を使用できないのだが、PBBはこのような環境下でこそ、その真価を発揮する。近年では医療検査機の性能が飛躍的に向上したため、機器自体の金属が反応し、ノイズが生じるという問題が持ち上がってきた。多くの樹脂は絶縁体のため、同社の作るPBBはハイテク検査機器にも組み込まれている。
近年では様々な医療機器が飛躍的に開発されており、例えばMRI(magnetic resonance imaging)などは磁気を帯びる材質は使用出来ない。樹脂は基本的には非磁性体であるためPBBが、望まれる大きな理由がここにある。

多種多様の材質と特性を持つPBB。それは顧客の要求に応える事を可能とし、様々な利用方法が想定されている。

 

膨大な研究データに裏打ちされた加工製品を送り出す企業

60年以上に渡って樹脂加工を行い、プラスチックボールベアリングを主力製品とする鹿島化学金属だが、プラスチックボールベアリング開発当初、この製品が脚光を浴びることはなかった。しかし1993年、営業部長だった鹿島祐二氏(1996年、社長就任)と東弘之氏(現副社長)による戦略会議の結果、「特殊なものに特化したニッチな企業にしよう」と、PBBの本格的な開発に乗り出した。当時、国内においてもPBBの認知度は低く、時代に先行しすぎた商品は売れない状況が続いたという。だがその10年後、同社に大きな転換期が訪れる。共同開発を行う大学を探していた両氏は、大阪大学に所属していた木田勝之氏と出会う。木田氏は英国の工学雑誌「ブラックウェル」において最優秀論文賞を受賞するなど壊力学の権威で、この出会いは同社の研究を飛躍的に加速させ、現在までに膨大なデジタルデータを蓄積するにいたった。共同開発では、ボールベアリングの回転速度と送り速度から最適な表面粗度を算出したり、軸受を構成する軌道輪・玉・保持器の組み合わせ相性や、摩耗の低減、LIFETIMEを延ばすための有効な溝加工を研究している。また、水中における軸受の耐久性に関しても実験を行っており、同社は他の追随を許さない研究データに裏打ちされた製品を世に送り出している。鹿島氏はこの情報について、「水中の研究もそうですが、ここまでデータ化しているのは、日本だけでなく世界でも当社だけのはずです。この研究成果により、顧客にはPBBのおおよその寿命を伝えることができるのです」と語る。また、09年に新規性・発展性・波及効果を主眼とした経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択された同社は、木田氏(現在、富山大学に所属)との共同開発を継続中で、さらなる情報の収集に努めているという。
膨大なデータをもつ同社だが、その品揃えは圧倒的で全ての組み合わせを合わせるとその数は6万点にのぼる。これらバックボーンと品数に加え、同社は軸受の前後を含めた駆動部全体を一つのユニットして製造しており、顧客のニーズに合わせた製品を販売している。

 

世界を射程とするカシマのプラスチックベアリング

鹿島化学金属は大量生産が必要な出成形ではなく、小ロットでも対応できる加工によって、軸受の製造を行っている。同社の軸受から海外製品に変更した企業も、最終的には同社製に戻ってきており、長年に渡って蓄えたノウハウと加工技術によって作られる同社のプラスチックボールベアリングは耐久性と精度に優れていると評判が高い。
また同社は積極的に国内外の展示会に参加しており、PBBの認知度向上に励んでいる。社長の鹿島氏は今後の展望について、こう語っている。
「当社の強みは、研究成果によったデータと豊富な品揃えで様々な提案が可能なことです。近年、オイル・グリス不要のPBBは衛生的であるとして、医療業界でも非常に高い注目を集めています。当社も医療器を中心とした海外展開を図っておりますが、残念ながら海外では国内ほどの認知は広がっておりません。しかし、機械産業で困る所は同じですから、まず展示会を通して当社の製品を知ってもらい、PBBを世界へ広げていきたいと考えています」
そう語る同氏には海外進出とは別に大きな夢があるという。現在、金属軸受はISOやJIS、ドイツのDIN規格などで統一されているが、ニッチな機械部品であるPBBには明確な規定がない。世界に類を見ない研究データを持つ同社は共同開発の木田教授と共に、PBBの新規格・規定を立ち上げる事を将来的な目標とし、世界をその射程圏内に収めている。

鹿島化学金属株式会社

業務内容:プラスチックを使用した駆動部材、及び機械部品の製造販売
本社所在地:大阪市西淀川区姫里2-9-21
Tel: 06-6472-0556
Fax:06-6474-3630
東京営業所:東京都中央区日本橋蛎殻町1-27-5 日本橋Aビル3階
Tel: 03-6231-1721
Fax: 03-6231-1724
代表取締役:鹿島祐二
創業:1953年3月15日
WEB:http://www.kashima-kagaku.com/index.html

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