精密機械部品加工

動物用インプラント

株式会社コバヤシ精密工業  View Company Info
Implant for small dogs

多彩な金属の切削加工に対応できる株式会社コバヤシ精密工業には、半導体や自動車など、幅広い業界からのオーダーが入る。常に新しい分野に挑戦し続け、過去にはJAXAの「はやぶさ」プロジェクトを支えた実績もある。自社独自の製品開発にも取り組み、日本大学との連携で小型犬用インプラントを開発した。動物医療の現場では、小型犬用の医療機器が絶対的に不足している。そうした社会的なニーズに応えた同社の製品は、その状況を大きく改善するものとして、動物医療の現場で今後、大きな需要が期待される。

 

動物医療の最前線に、金属の料理家が現れる

コバヤシ精密工業の最大の強みは、多種類の金属加工に対応できるオールラウンダーである点だ。仕事を請け負う業種は幅広く、半導体、自動車、ロボット産業など、その数は10業種を超える。1980年の創業以来、新たなことに果敢に挑戦してきた結果、同社は多業種との関係を築き、常に様々な相談が寄せられる。広い業種から情報が集まり、それが新たなニーズの開拓につながる。そうした点こそが「我が社の最大の強みだと考えています」と代表取締役社長・小林昌純氏は話す。たとえば、航空宇宙産業への参入を熱望していた小林氏は、その想いをあらゆる機会で伝え続けた。その結果、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から依頼を受けた。小惑星イトカワからサンプルを持ち帰ることに成功した小惑星探査機「はやぶさ」。その帰還カプセルの分解プロジェクトに参画。スピードと正確な加工技術が要求されるカプセルの熱シールド分離作業を行い、プロジェクトの成功に貢献した。

現在は、宇宙分野だけでなく、航空機産業への参入も狙う。ジェットエンジンの部品製造に向けて、既に五軸加工機とロボットを融合させた自動生産システムを自社工場に導入した。ジェットエンジンには、高温強度の高いチタンやインコネルが使用されている。どちらも非常に切削性が悪く、加工には高度な知識と技術が要求される。だが同社にとってはどちらもごく当たり前の素材だ。特にインコネルは、石油掘削企業からの依頼で、20年以上切削してきた実績をもつ。「我々は地球資源と戦っているようなもの。思い描く最高の加工を行うには、どうやってこの素材を料理してやろうかと考える。そこにものづくりの面白さがあります」(小林氏)。同社はまさに、多彩な金属をお客のあらゆるニーズに応じて加工する「料理家」だといえる。

日本有数の獣医師と連携、かつてない画期的な小型犬用インプラントを開発

近年、同社は自社の独自製品の開発にも取り組み、その最初の製品として誕生したのが小型犬用インプラントだ。現在、動物用インプラントは海外メーカーが圧倒的なシェアを誇る。だが、日本では小型犬の人気が高いのに対して、海外は大型犬が主流という大きな違いがある。小型犬用の製品は機能的に不十分な製品も多く、価格は手術費用全体の1/4を占めるほど高額だ。それでも海外製品を使わざるを得ないのが、日本の動物医療の現状だという。
開発の発端は、同社と近隣の工業技術系の企業数社、公設研究機関などでコンソーシアムを形成し、試験的に人体用のチタン製人工骨を開発したことだった。医療業界への新規参入は厳しいが、動物なら可能性があるとの情報を得て、そこから動物医療へ関わることとなった。小林氏が「幸運だった」と語るのは、現在日本に数人しかいない小動物外科専門医である、日本大学生物資源科学部獣医学科専任講師・枝村一弥獣医師との出会いだ。枝村氏は、外科専門医として動物用インプラントに精通し、また医療現場におけるコスト削減にも大きな関心を持っていた。こうして、日本製の高い品質と適正な価格の小型犬用インプラントの開発に向け、日本大学と連携した研究開発がスタートした。
小型犬の肢の骨折治療で使用されるプレートとネジについて、大学の動物病院等でニーズの掘り起こしを徹底して行った結果、開発の鍵となる、既存製品の問題点が明らかになった。プレートを骨に固定するネジには、差し込む際の角度調節が可能なコーテックスクリューと、固定強度が高いロッキングスクリューの2種類がある。骨を元の状態に整復するためには、様々な角度でネジを骨に差し込む必要があり、角度の自由度が高いコーテックの方が適応範囲は広い。だが枝村氏をはじめ現場の獣医師たちからは、コーテックは固定強度が低く抜けてしまうリスクが高いため、確実に固定できるロッキングを全てのケースで使用したいという声が圧倒的に多く聞かれたのだ。
ロッキングに、固定する強度と角度の自由度を共存させることは、非常に困難だ。だが同社は現場で真に求められる製品を生み出そうと、敢えて挑むことを決意した。開発の道のりは険しく、試作と失敗を繰り返したという。数十ミクロン単位の微細な調整を続け、ようやく完成にこぎ着けた。製品は、細部まで現場の声を反映した、かつてない構造となっており、小型犬用インプラントの新たなスタンダードとなることも十分期待できる。

世界の動物医療業界にジャパンクオリティが新風を巻き起こす

 

世界の動物医療業界にジャパンクオリティが新風を巻き起こす

アメリカでは、一般家庭は大型犬が主流だが、著名人を中心に小型犬の人気も安定して高いことが見込まれる。小型犬用インプラントは今後、アメリカやヨーロッパでの需要も確実に増えるとして、同社ではこの製品を世界へ進出する足がかりと位置付けている。
世界で戦う上で最大の武器となるのは、間違いなく日本製の品質と安全性の高さにある、と小林氏は考える。そのため製品は全て国内で製造し、品質は検査部門が3次元測定機などを用いて徹底管理する。安全面では体内に入る製品であることから、生体親和性の高いチタンを採用し、着色も一切行っていない。高い強度と耐久性も追求し、既存の製品を上回るレベルを実現した。また小林氏は、少数精鋭で無駄なコストが発生しない同社の強みを生かし、販売価格も極力抑える考えだという。
動物医療の現場では、インプラントに限らず、小型犬用の医療機器が絶対的に不足している。今後もニーズを取り入れた製品開発を続け、世界の動物医療業界に新風を巻き起こしていく。それが同社の目指すところだ。

株式会社コバヤシ精密工業

株式会社コバヤシ精密工業
業務内容 精密機械部品加工
本社住所 〒252-0331 神奈川県相模原市南区大野台4-1-54
電話番号 042-751-9095
代表取締役 小林昌純
創立  1980年
従業員数 14名
オフィシャルサイトwww.kobasei.com/eng/

株式会社コバヤシ精密工業 様へお問い合わせをご希望される企業の方は、直接上記の連絡先までご連絡をお願い致します。お問い合わせの際はインデックスライツのポータルサイトをご覧になられたとお伝えください。