Printed Circuit Boards and CO2 Sensors

プリント基板製造および部品実装

株式会社美山技研  View Company Info

東京でプリント基板の製造を行う美山技研は、自社内で基板に部品を取り付ける実装過程まで手掛けることで、ユーザーへの詳細なコンサルティングと納期の短縮を実現した。
顧客のメリットを重視する日本企業独自の理念と、既存の価値観にとらわれない発想で成長を続け、新事業として自社内でCO2センサーの開発も実現した。

常識を破る、プリント基板製造から実装への参入

プリント基板は、携帯電話やパソコンなどの日用品から、発電所のシステム、宇宙ロケットまで電気回路を必要とするありとあらゆる機械や精密機器に用いられる重要な部品だ。樹脂などの素材の上に電気回路を張り巡らせてあり、電気信号伝達のベースとなる。美山技研は多品種少量のプリント基板製造を主力事業とし、用途に応じて様々な素材を使った基板を、主にユーザーの試作品製作向けに提供する企業だ。
IMG_1416裾野の広い基板製造業界の中で同社を特長づけるのは、製造を経て「実装」の過程まで自社内で完結できる点にある。基板は、電子部品を取り付ける実装を経ることで、はじめて機械の中で機能する。
通常、基板の製造業者と実装業者は別々で、ユーザーは製造業者から購入した基板を実装業者に持ち込み、電子部品の取り付けを依頼する。
大久保憲男は2009年の社長就任後、基板の製造だけにとどまらず、実装の過程まで自社内で手掛けることを決める。創立30周年を超えた同社が、アジア圏の企業との競争が激化する業界で今後も生き残っていくために提案したヴィジョンだった。基板の素材や規格などは通例、発注の際にユーザーが指定するが、近年、知識のない担当者が増え、同社はコンサルティングも兼ねた業務が増えていた点に目をつけたのだ。
設計•製造から実装まで自社内で手掛ければ、基板に明るくないユーザーにとってメリットは大きくなる。しかし、基板製造業者で社内に実装のラインを持つ例は稀だったため、先代社長である父や周囲の同業者からは猛反対された。それでも大久保は反対を押切り、5年計画の投資で工場を整備して実装事業を開始した。

設計、製造、実装まで一貫して行うメリット

はじめの2年は業績が伸びなかったものの、次第に口コミで評判が広がるようになった。納期が早く、また実装を見据えて基板を造れるため、製造コストも押し下げられ競争力が生まれたのだ。
大久保は、「技術提供もサービスの一環という姿勢で、ユーザーをコンサルティングしている」と言う。2013

通常の基板製造業者は、顧客に詳しい技術情報を明かすことをためらう。しかし、同社は、設計、製造、実装の3段階の流れを詳しく説明し、顧客と十分に話し合った上で最良の選択を提示する。
「手の内を明かし、顧客と意思疎通を図りながら共同で開発するのがメリットになる」。顧客にとっては納期や価格面でメリットがあり、美山技研は顧客から詳細なフィードバックを得られることで、より高い品質の確保も可能になった。

CO2センサーを自社で開発

同社にはもうひとつの主力商品としてCO2センサーがある。大久保は2007年頃、盛んにCO2削減のニュースを見たことから開発をひらめいた。
M1CO2センサーは部屋や建物内部のCO2濃度の測定、自動車内の空気汚染度の監視、野菜工場の濃度の想定など幅広い分野で利用されている。
しかし、市場で主流のアナログ式センサーは、測定のみを行い、数値の表示や記録のためにはユーザーが基板を取り付ける必要があった。そこで、より手軽に使えるセンサーの開発に取り組み、特許を取得した。

開発したセンサーは非分散型赤外線吸収方式(NDIR)と呼ばれ、赤外線照射装置とセンサー受容面の間にあるCO2量を、入射した赤外線の量で置換して測定する。従来のアナログ式のセンサーの受容面は、10cmの長方形で面積が小さく精度の面で不足があった。そこで同社が開発したセンサーは、渦巻き型にしてセンサー受容面の距離を延ばし、面積を大幅に広げたため精度が高まった。

 

付加価値で需要を開拓

従来のセンサーは、定期的に目盛りを校正する必要があったが、美山技研のセンサーはデジタルマイコンを搭載し、自動補正を可能にした。また、アラームが付いているのも特長だ。
青、黄、赤の3種類のランプについて任意の値を設定でき、それぞれ安全、注意、危険のCO2濃度レベルを規定して警告を発信できる。500ppm〜8000ppmまで設定でき、最高値も一般的なCO2測定器の5000ppmより60%高い。

また、同社のセンサーは基板が付帯しているため、購入状態のままでも10秒に1度の頻度で記録し、付属のメモリーで2年分の測定値を保存できる。IMG_1062
さらに記録時間を延ばしたい場合は別途メモリーを追加すればいい。USBメモリーに書き出し、パソコンなどで分析を行うことも可能だ。

自社で製造するため納期も早く、在庫があれば通常国内で5日ほどで納品できる。在庫がない場合でも2週間ほどでの納品まで行う。

 

リスクをとって決断、日本の中小企業がイノベーションを起す

大久保が目指すゴール。それは自らイノベーションを起こし、他社には追随できない唯一無二の価値を提供することだ。「製品を開発するにはリスクを取らないといけません。しかし、大手企業ではそのリスクを取りたがらない会社が増えています。だから即断即決で開発に取り組める中小企業こそ、イノベーションを起こして日本の製造業の未来をを変えることができるのです」。

株式会社美山技研

企業概要:プリント基板製造および部品実装
住所:東京都八王子市左入町664-2
電話番号:042-696-1231
FAX:042-696-1235
代表取締役:大久保憲男
設立:1978年
従業員数:12名
オフィシャルサイト:www.miyamagiken.co.jp
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