Various die design and manufacturing, transfer-progressive, single Press, welding, parts assembly process

進化を遂げた世界技術「割裂工法」

Seki Press Co. Ltd.  View Company Info

特殊なプレス加工技術により、金属を一瞬で繊維のように裂く、関プレスの「割裂(わりさき)工法」がさらなる進化を遂げている。2012年に基盤技術が確 立して以降、車両メーカーをはじめ幅広い分野からのオファーが相次いだ。企業との直接的なやりとりを通じて、技術力に磨きがかかり、アプリケーションも充 実。これにより、チタン64合金などの難加工材への応用も可能になった。加工精度も格段にアップ。厚さ0.8㎜から0.4㎜への2分割製品の量産実験をクリアし、現在は直径0.1㎜極細線の2分割にも挑戦中という。2015年3月には国外特許の第一号を台湾で取得した事により、本格的な海外進出へ向けた足 がかりを得て、前人未到の新技術をめぐるドラマが動き出した。

台湾でも特許を取得

日本で子どもたちに人気の“裂けるチーズ”に着想を得たという割裂工法は、関プレスが2011~2012年にかけて開発。金属プレスの未来を切り開く斬新なアイデアで数々の受賞を果たし、日本(2012、2013年)、台湾(2015年3月)で特許を取得した。

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割裂工法は文字通り、金属(板、コイル、棒など)をプレス金型内で“割って裂く”。従来は切削加工や鍛造、ダイキャストなどでなければできなかった、複雑 な三次元形状部品も一体成型として順送り加工で生産することが可能になった。これにより、50~80%という大幅なコストダウンや作業工程の短縮、品質向 上につなげている。
たとえば、T字型金具のような形の部品の場合、2つのL字型金具をそれぞれプレス成型し、その後、溶接、製品化する――と3つの工程を踏まなければならなかったが、割裂では単一工程で完結。溶接が不要なため製品に継ぎ目がなく、完成度の高い一体成型として製品化できる。

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また、地元大学、研究機関による検証によると、通常、脆弱になりがちな加工部分の硬度が未加工部分の約1.3倍、強くなっているという結果も得られた。切り込み部の先端はエッジでなくR形状にし、微細なクラック発生を防ぐ等の工夫も施されている。

 

進化するアプリケーション

同社は2012年に割裂工法の基盤技術を確立して以降、世界市場を視野にいれ、月1回ペースで国内他、アメリカ、ドイツ、中国、台湾…等各国で展示会に出展し、新技術のPRに務めてきた。
金属の端面を割裂いて溝や穴を作る「内部割裂」(2015年3月、日本で特許取得)をはじめ、パイプ状の金属材の外周端面をぐるりと割裂く「外周割裂」、 より高度な接続を可能にした「異種(同種)金属接合技術」、金属板の端面を割裂いて円形を作り出す「丸型成型」…急激なグローバル化と同時に進んだアプリ ケーションの拡充は、こうした対外アプローチから生まれ、段階を経て進化していったもの。展示ブースを訪れる企業の現場ニーズを聞き取った上で研究開発し た、宝玉の試作品なのだ。

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関正克社長は「新工法の可能性を探るために展示会では情報収集にも努めた。たとえば、アメリカで自動車メーカー数社から『パイプ型への応用が可能か?』と いう問い合わせがあれば、ニーズを予測し、パイプ型にチャレンジする。そして、次の展示会ではより実情に合わせた試作品を並べる。このようにイメージを現場ニーズに合わせて具体化していくと、企業との商談も格段に進めやすくなった」と話す。

 

チタン64合金の扱いも可能に

金属を割り裂く――開発当初は突拍子もないアイデアに思われた。まったくの新技術のため、既存技術からの応用は望めない。頼りになるのは、関社長の最初の直観と、世界一厳しいともいわれる日本の自動車業界で培ってきた技術力のみ。
「自社の技術力をベースに、オンリーワンの技術が加われば、どんな新製品も具現化できる自信はあった」(関社長)。
しかし、新たなチャレンジは必ずリスクを伴う。特に苦心したのは、自社で製作している金型の刃の開発。製品の形状・材質により、刃の形状、材質、表面処理の方法を何十、何百通りも試す。幾度も失敗を繰り返しながらデータ化、ノウハウを積み上げた。
こうした努力の結果、銅、アルミ、真鍮、ステンレス等に加え、当初はハードルが高かった難加工材のチタン64合金、高張力鋼板の取り扱いも可能となった。 加工精度も増し、最初はできなかった厚さ0.8㎜板の2分割の量産実験に成功。記録では髪の毛のように細い直径0.16㎜極細線の2分割もクリアしてい る。

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「開発最初はニーズがあるのかすら、わからなかった。しかし、今は国内の大手自動車メーカーなど、有力企業が互いにけん制しながら実用化を進めている。自 動車関係ではインバーターのバスバー端子、熱交換機器の接合部分、ブラケット、インサートモールドの端子等、幅広く応用が可能で、建築関係でT字型留め具 やパイプの接合、コネクターの端子としての実用化も考えられている。また、従来は自動車メーカーとの取引がほとんどだったが、割裂工法をきっかけに医療機器メーカーからも声がかかるなど、受注の幅が広まった。また、既存のお客様からの発注も増える等、今はうれしい波及効果が続いている」(関社長)。

 

世界の割裂へ

割裂工法の開発は、2011年3月の東日本大震災直後の混乱期に、大きなダメージを受けながらスタート。周囲の厳しい風当たりにくじけそうになりな がらも、「技術無くして未来無し」を合言葉に、一縷の可能性にかけた。こうした生みの苦しみが、今、大きな実りに転じようとしている。

「アプリケーションの開発により、割裂の詳しい活用方法が見えてきた。国内外の企業から高い評価を得ており、より具体的なステージに移っているといえる」(同)。

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実際に、世界展開する海外の有力企業5社の技術公募で合格。国内外の大手企業と取引に向けた商談が進んでいるほか、今年3月に台湾で特許を取得した 後は、現地で技術提携、共同出資の動きも活発化している。ほか、欧米、アジア各国で特許を申請中と、グローバル・ネットワークの構築にも意欲的だ。

「取引企業に直接製品を輸出するほか、技術提携や共同出資による法人立ち上げも視野に入れている。海外企業の皆様に割裂工法の可能性を感じてもらい、いい形でパートナーシップを結びながらともに市場拡大に取り組んでいきたい」(同)。

“世界の割裂ブランド”へ――。

Seki Press Co. Ltd.

株式会社 関プレス

株式会社 関プレス
業務内容:各種金型設計製作、トランスファ-.順送.単発プレス加工、 溶接 部品組立加工
代表取締役社長:関 正克
設立:1950年5月
資本金:4,200 (万円)
従業員数:85名
品質規格:ISO9001
本社工場:316-0013 茨城県日立市千石町4丁目3番20
TEL : 0294-36-0300
FAX : 0294-34-5947?
金型事業所: 茨城県日立市久慈町2-36-21
常陸太田工場: 茨城県常陸太田市和久町1495
ベトナム(ハノイ)事務所: 2A,S1K5,11XUAN DIEU,QUANGAN,TAYHO,HANOI,VIETNAM
台湾事務所: 2F NO.75, Wenhwa 1st. RD., Lohshan Vill, Kueishan, Taiyuan County, 333, Taiwan, R.O.C Seki Press Vietnam (SPCV)
所在地: Dinh Tram Industrial Park Dong Van, Viet Yen District, Bac Giang Province, Vietnam
Capital: 1,000,000 USD
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