3D R&D prototype, Cardio Simulators

心臓シミュレーター, 光造形

株式会社クロスエフェクト  View Company Info

クロスエフェクト(京都市伏見区)は、「光造形」という樹脂加工技術を武器に、携帯電話などに使用される工業系プラスチック製品の開発や試作製作を手がける町工場だ。
「世界最速」という試作制作のスピードを強みに、顧客の開発を下支えする。さらに経営の二本目の柱として、CTデータから3Dモデルの心臓模型を作りだす『心臓シミュレーター』を開発した。
「Made in Kyoto,JAPAN」を掲げる代表取締役の竹田正俊氏から、世界を視野に入れた事業展開について話を聞いた。

新事業を芽吹かせたのは、職人魂ではなく経営的視点。
ものづくり企業が、世界の命を救う。

クロスエフェクト(京都市伏見区)は、「光造形」という樹脂加工技術を武器に、携帯電話などに使用される工業系プラスチック製品の開発や試作製作を手がける町工場だ。 「世界最速」という試作制作のスピードを強みに、顧客の開発を下支えする。さらに経営の二本目の柱として、CTデータから3Dモデルの心臓模型を作りだす『心臓シミュレーター』を開発した。「Made in Kyoto,JAPAN」を掲げる代表取締役の竹田正俊氏から、世界を視野に入れた事業展開について話を聞いた。

起業当時から世界を見据え、 Made in Kyoto,JAPANを謳う

– どのような事業を展開しているか。
竹田:工業系プラスチック製品の試作開発製作がメーン事業で、「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれる高速試作が強みです。また、開発支援という立場で、クライアントと一緒にデザインから設計、3Dデータ構築までを行います。開発を支援しながら、開発そのものを高速に行う、それが当社の強みです。 現代の『開発戦争』や『特許戦争』といったものは、すべて時間を争っています。
クライアントが当社に最も求めるのは、品質よりもコストよりも、時間です。そのために、当社は時間短縮に経営資源を投入し、「世界最速」を謳ってビジネスを展開しています。
クロスエフェクト3_w700–「世界最速」に対するこだわりを感じる。「世界」と強調しているのは、世界中の人が知る京都という土地柄と関連はあるか。
竹田:起業当時から世界を目指すのは私のポリシーです。誰かが勝手に引いた県境や国境を越え、地球規模のビジネスを志向してきました。
現在、京都のものづくり企業集団『京都試作ネット』の代表を務めています。地元、京都のすばらしさを強く感じます。京都に対しては、国内外に関わらず、上質で洗練されたイメージを持たれています。 また、京都発祥の世界的に有名な企業が、本社を京都から移さないことも影響しているように感じます。
当社も最近は『Made in Kyoto,JAPAN』を打ち出しています。革新的なイノベーションを長きにわたって積み重ね続けることこそが、伝統の本質であると思っています。伝統は革新性によってのみ生まれるということです。

心眼で見えたチャンス、心臓シミュレーター開発。

– 新事業である心臓シミュレーターとはどんなものか。
竹田:心臓シミュレーターとは、病院で撮影したCTスキャンの画像をもとに、DICOMデータと光造形を駆使し、加えて特殊な型を用いることで軟らかい心臓のモデルを立体化していきます。
表面はもちろん、内腔や患部の再現性も緻密です。しかも、術前シミュレーターとしてメスでの切開もできるんですよ。

– これはすごい。ただ、スピードを意識した試作開発と心臓シミュレーターの開発が、まったく結びつかないが、何が開発のきっかけだったのか。
竹田:心臓シミュレーターの開発を始めたのは4年前です。
国立循環器病センターの小児循環器部長である白石先生からお声掛けいただいたのがきっかけです。実は、白石先生とは8年前にお会いして心臓シミュレーターへの協力を求められていたんです。でも、失礼なことに当時はお断りしてしまっていたんです。

– 8年前に断ったのに、なぜ4年前は協力したのか。クロスエフェクト2_width700
竹田:ひと言で言えば、私が経営者として少しだけ成長したからでしょうね。
ドラッカーの勉強会をする中で『経営者は問題解決よりも機会に焦点をあてろ』というドラッカーの言葉に出会いました。8年前の私はまさに営業担当がやるべき問題解決に奔走していて、経営者本来の仕事である「機会に焦点をあてる」仕事がまったくできていなかった。それが8年前の私でした。

– そんな竹田さんに変化をもたらした要因が、先述の京都試作ネットだったんですね。
竹田:そうです。京都試作ネットの当時の代表に、こんな言葉でひどく怒られました。「誰の目の前にも『情報の川』があり、その『川』にはチャンスが流れている。
だが、それが見えるかどうか、掴めるかどうかは、人による。あなたが『凡眼(凡人の目)』だから見えないだけだ。『心眼(心の目)』を備えよ」と。むちゃくちゃショックでしたね。この時、学んだことは、ものづくり企業の経営者として何をするべきか、ということです。
つまり『問題ではなく機会に焦点を当て、さまざまな人に出会い、そこから機会を発見し、それを社内で事業化するのが、経営者の仕事である』ということですね。最初はまったく意味がわかりませんでしたが、3年を超えた頃に少しだけ『情報の川』が見えるようになった。
そして川からチャンスを掴むための『手』として、部下を育てることに注力しました。そんな時に白石先生と再会したんです。この時、少しだけ機会に焦点があったんでしょうね。喜んでお手伝いさせていただくことになりました。

クロスエフェクト4_width700– 本業である高速試作開発をやりながらの新事業開発は大変だったのでは。
竹田:最初の3年間は行政から補助金をいただいて基礎開発や製品開発、市場調査などを実施しました。
製品開発自体はトライ&エラーで前に進んでいきますし、製品サンプルなんて開発が進めば作れます。最も頭を悩ませたのは、開発中は本業とのバランス、開発終了間際からは新事業として成立させるための仕組みづくり。経営者の経営力を問われるこの2つが本当に難しかったですね。

ブルーオーシャンは、発見ではなく創造するもの

– 当時を振り返って、何が成功要因だったのか。
竹田:技術面でいえば、中小企業にいる優秀な技術者なら、どんなものでもある程度のレベルで作れます。
ただ、当社の心臓シミュレーターが好調に進んでいるのは、事業の使命、すなわちミッションが明確だからでしょうね。
使命を明確にすることで、作業員のモチベーションと、ものづくりに対する意識が変わりました。使命がなければただのやらされ仕事ですから。
私は、ミッションこそ、作業を本当の仕事に変える魔法の言葉と呼んでいます。

 

– 心臓シミュレーターは、ミッションという内面的要因以外に、経営者的な視点から生まれたと聞いた。
竹田:中小企業が新事業を興すとなると、人も金も知識も経験も足りないため、既存の市場でレッドオーシャンにまみれてコスト勝負を企てがちです。でも、ブルーオーシャンは、見つけるものでも探すものでもないんです。自分たちで創造するものなんです。だからこそ、まったくの新分野で新事業を興そうと考えたのです。

– 市場を開拓するのではなく、創造するということですね。
竹田:そうです。市場を創造すべく新分野進出を目指した時に気をつけていたのは、既存の技術や経験、既存の設備や人材、すなわち、すでに社内にある既存の要素を100%活用することで新市場を創造することです。
これが最低条件でした。だから、『情報の川』を流れる多くのチャンスをフィルタリングしていました。
白井先生との出会いはフィルタリングした結果、医学的な知識以外はすべて既存の要素を活用することで、まったく新しい分野に進出できると感じたんです。
だから、心臓シミュレーターはものづくりの視点ではなく、経営者の視点から生まれたものなんですよ。クロスエフェクト5
10年後には、地球規模のビジネスを展開する!

– 心臓シミュレーターの今後についてお聞かせください。
竹田:自社目標では、10年後にはグローバルにビジネスをやっていたいという想いがあります。
心臓シミュレーターも、そうした世界戦略事業の柱と位置づけています。これからは、当社の考えの中から国や地域の境界線をなくしていきます。
京都から滋賀に行く時、県境を意識することなんてありませんよね。そんな感じで世界を動いていきたい。私は英語が話せませんが、そんなものは関係ない。
経営者が英語なんてしゃべれなくても海外展開ができることを当社が証明しますから。

クロスエフェクト_w700– これからは、ものづくり企業も経営者としての視点を持たなければ、世界と戦うのは困難だろうか。
竹田:あくまで私見ではありますが、少なくとも自社の商品やサービスを持っていなければ、世界とは戦うのは厳しいと考えています。
そして、戦える商品やサービスを生み出せるのは経営者的視点だと。
今でも、すべてを既存のリソースで賄えるか、という経営的視点から出会いや機会をフィルタリングしています。それが経営者の仕事だからです。
経営者として『情報の川』に流れるチャンスを見極める『目』、それを掴める部下である『手』を磨き、育て続けていきます。

 

株式会社クロスエフェクト

業務内容: 光造形による3D開発試作モデルの製作
住所: 〒612-8443 京都府京都市伏見区竹田藁屋町43
代表者: 竹田 正俊
創業: 2001年
従業員数: 25名
電話番号: 075-622-2600
FAX: 075-622-4700
Eメールアドレス: info@xeffect.com
オフィシャルサイト: www.xeffect.com/english/index.html
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