美容機器の開発・販売

株式会社MTG  View Company Info

日本発の技術で挑むスタイリッシュな美容•健康機器を世界へ

美容・健康機器の分野で革新的な商品を出し続け、急成長をとげているベンチャー発の日本企業、MTG。同社が発売し、累計500万本を売り上げたスタイリッシュな美容ブランド「ReFa」シリーズは、肌の美しさで知られる日本女性にとって、今やなくてはならないアイテムになりつつある。発売から一年も経たずに大ヒットとなった、身につけるトレーニング・ギア「SIXPAD」は、日々の仕事に奔走しながらも引き締まった肉体にあこがれる男たちに革命をもたらした。MTGが魅力的なアイテムを次から次へと発信する秘密に迫る。

オブジェとしても美しい、美容機器を創る

「ReFa」は、これまでエステに通うことでしか受けられなかった本格的な美顔マッサージを、自宅で、しかも気軽に自分で行えることで、肌の手入れに気を遣う女性を多いに喜ばせたプロダクトだ。一度見ると忘れられないV字型の独特なフォルム。きちんと科学的に証明された美容効果に加え、これまでの美容機器ではほとんど考慮されていなかった、「オブジェとしても美しい」というもの作りの思想を体現したことで、美意識の高いユーザーの感性も満たしてきた。

初代ReFaは、顔やボディを引き締めるエステシャンの手技に着想を得て開発された。親指と人差し指をV字型にしてマッサージを行うエスティシャンの巧みな手の動きを、自宅で再現しようというのがそもそものアイデアだ。Rafaのローラーを肌上で上下に動かして使うことで、フェイスライン、首筋や二の腕、ウエストライン、ヒップラインや脚など、身体のあらゆる部位へアプローチし、肌を美しく引き締めることができる。

 

3D設計のV字型ローラーは、転がすだけで肌の凹凸に応じてフィットし、高い吸い上げ力を生じるので、ユーザーが力をあまり入れなくてもエスティシャンの広く、やさしく、めぐりを整える手技を再現。さらに、ハンドルに内蔵されたソーラーパネルから光を取り込み、マイクロカレント(微弱電流)を発生させ肌に伝える効果もある。エステティックでも人気のマイクロカレントに施術を手軽に家でできることも人気の秘密だ。

 

こうして自宅での気軽なエステ施術を可能にしたReFaは、2009年の日本国内での発売後から口コミで少しずつ評判となり、販売を確実に伸ばした。広がりは一般家庭のユーザーだけにとどまらず、美容室のマッサージなどでも使われるようになり、ReFaは美しさへの追求で世界中から知られている日本の美容業界全体に浸透する。また、モデルや女優など多くのセレブリティがReFaの効果をシェアするようになったこともあり、その後は爆発的な売り上げを記録。海外にも販売を広げ、2016年の秋までに累計500万本という、美容機器業界では異例のヒット商品となった。

 

総合美容ブランドへ  ReFa CLEARの登場

MTGの代表取締役社長•松下剛は、ReFaの記録的な売り上げについてこう語る。「ReFaの マッサージ効果は非常に高く、それは研究データが示す通りで、実際に使えば分かって頂ける自信があります。ただ、それだけでは優れた美容機器に過ぎません。ReFaは、部屋に置くとオブジェになるような、眺めるだけで美しいデザインを追求したことで、多くのユーザーの心を掴んだのです」。

シルバーに輝くReFaのローラーの表面にはプラチナがコーティングされており、変質•変色を起しにくいので、輝きが長く続くようになっているという。こうした、美容効果とは直接関係のない面でも妥協せず、美しさを追求する姿勢がMTGのものづくりの根底を流れているのだ。

2016年の夏に新発売された「ReFa CLEAR」は、同社の代名詞とも言えるReFブランドで、初となる3D音波洗顔ブラシだ。3Dソニックモーションとイオンクレンジング、そして日本の伝統工芸である熊野筆を取り入れた「世界初※ 3Dソニックイオンテクノロジー」を搭載し誕生した。 ※2016年8月 JACTA研究部調べ

3Dソニックモーションは、毛穴を含めた肌の構造を研究し、上下左右の微細な振動によって顔の起伏や毛穴の奥までを確実に洗浄することを可能にした技術で、これまでの手洗顔では落とせなかった汚れも落とす。イオンクレンジングには、毛穴の奥底で地層化したメイク汚れを、イオンの力で浮き上がらせ、洗浄力を高める作用がある。そして数百年の伝統を受け継いできた職人が手作りする熊野筆には、0.5mm間隔で毛先の長さに段差をつける特殊加工を施し、肌の表面と毛穴の洗浄を同時に行うことを可能にした。また毛の先端を人間の毛穴より細い0.1mmに加工することで、どんな毛穴にも入り込んで汚れを搔き出す。毛の根元はウェーブ状に加工されており、起伏のある顔面上でも毛先が垂直に立ち、柔らかな肌当たりと効果的な洗浄を行うことができる。

こうした最新技術と伝統工芸の融合、あるいはテクノロジーと人間の感性のハーモニーが、MTGのプロダクトに宿る魅力の大きな特徴なのだ。

 

男の夢を実現させた身につけるトレーニング•ギア

 

MTGが発売した身に着けるトレーニング•ギア「SIXPAD」は、クリスティアーノ•ロナウドがその一切の無駄がない引き締まった腹部に装着している広告写真で一躍有名になり、2015年夏の発売からわずか11ヶ月で累計50万台以上を販売したヒット商品。SIXPADを腹部や腕部などに装着し、一日たった23分のトレーニングプログラムを機器に実行させるだけで、筋肉トレーニングの効果を得られる革命的な「身に着ける」トレーニング・ギアだ。きつい腹筋運動や激しいトレーニングを毎日繰り返さずとも、通勤中や自宅のソファーでくつろいでいる間に薄型のパッドを身体の上に貼るだけで、筋肉を鍛えることができる。

 

MTGは2011年頃からEMS(Electrical Muscle Stimulation)技術に着目し、研究を進めてきた。EMSとは、筋肉にダイレクトに電気信号を与えることで筋肉を収縮させ、運動させる技術だ。この分野を40年以上に渡って研究してきた京都大学の森谷敏夫名誉教授と連携し、MTGが独自に開発した最も効果の高いパルス、そしてクリスティアーノ•ロナウドのトレーニング・メソッドの3点をインキュベーションして生み出された。SIXPADは筋肉トレーニングにおいて効果的な「20Hz」の周波数を用い、MTGが独自開発した波形「CMMパルス」によって筋肉を刺激するのだ。

 

ここまでに与えられた情報だけだと読者は、「ReFa」も「SIXPAD」も、深夜番組の通信販売でたまにみかける怪しい健康機器のひとつだと感じるかもしれない。しかし、MTGが市場でユーザーに信頼された最大の理由のひとつは、全てのプロダクトにおいて、科学的な検証をしっかりと行っている点だ。それは、同社の全ての製品の開発に携わる、社長•松下のフィロソフィーに基づいている。

 

「まずデザインありき」の商品開発

MTGの商品開発の流れは非常にユニークで、その秘密を一言で表すと、「まずデザインありき」。社長の松下が構想したプロダクトのデザインをスケッチし、それを粘土職人に削らせてプロトタイプを作り込むことから全てが始まるのだ。そして、その制限されたプロトタイプの形状の中でプロダクトに最大限の機能性を持たせるよう、開発者たちは全力で課題に立ち向かう。

前述のReFaの開発のきっかけとなったエステシャンの施術の際の手の形。MTGは元々エステ業界とのつながりがあったため、開発にあたって調査を行うと、どのエステ業者も、どこの国でも親指と人差し指を開いたV字型はほぼ共通していることが分かった。

 

「なぜV字型でなくてはいけないのか?」。

この極めてシンプルな疑問からReFaの開発が始まった。

肌は、人が意識するよりももっと微細な刺激を受け取っているという。従って、単純に心地よいという「体感」だけでローラーを設計すると、刺激が強くなりすぎてしまう。そこでMTGでは、V字型ローラーの位置や角度を100分の1ミリ単位で調整し、データを取りながら実験を繰り返してきた。また、ローラー表面の3D構造、マイクロカレントなど、ReFaの開発研究分野は多岐におよび、発売までに数年の時間を要することとなる。

松下は、『全ての商品は発売前に機能試験を行い、あらゆる面で競合商品に勝った「ナンバーワン」ではないと発売に踏切ません』、と断言する。美容機器業界では、一つの商品開発に1年から1年半かかるのが一般的だが通例だが、MTGの最新作「ReFa CLEAR」の研究開発にはなんと5年を費したのだ。その年月の裏には、デザイン、機能面ともに一切の妥協を許さない松下の姿勢が貫かれている。ReFa CLEARでは、例えば熊野筆の段差、密度、角度が少しでも変わると、汚れの落ち方がまったく違ってくる。開発にあたっては、一人の開発者には筆に使われる「毛」だけを2年の長期にわたって見つめてもらい、形状を研究したのだという。

MTGの企画開発本部で開発の指揮をとる取締役の長友孝二はこう語る。

『弊社の開発部門は、企画開発部門と量産部門に分かれています。企画開発部門では、松下から提示されたアイデアや疑問を本当に形にできるのか、本当に効果はあるのかを科学的に検証しています。松下は開発については本当に厳しく、正直、妥協したくなることも多々あります。そんな時「これくらいで大丈夫だろう」と松下のところへ試作を持って行って見せると、一瞬で見抜かれ、作り直しを命じられるのです』。

 

こうしたプロダクト開発の姿勢は、ReFaシリーズからSIXPADへも確実に受け継がれ、美容機器とトレーニング•ギアという異分野の商品にも関わらず、MTGは両方のプロダクトで異例の販売台数を記録した。

 

世界中の技術をインキュベーションし、マーケティングする企業

また、こうしたMTGの製品開発を可能にしているのは、日本のもの作りの伝統と技術力に他ならない。「日本列島は、今もたくさんの隠れた技術が静かに眠る宝島だと思っています。もの作りの長い歴史と、日本人の勤勉性が素晴らしい技術を育んできました。ただ、日本の製造業はどうしても職人気質が強く、技術が求められている新しい分野と融合できなかったり、自己満足のプロダクトを作ってしまうという問題が生じています。そこで、今の時代にユーザーが求めているものを感じ取り、伝統技術をインキュベーションしてブランド化し、マーケティングまで責任を持って行うのがMTGの役目なのです。」と松下は話に力を込める。

 

松下が製品のアイデア思いつくと真っ先に作る粘土のプロトタイプにしても、町工場の熟練の粘土職人に、簡単なスケッチと言葉を伝えるだけであっという間に完成してしまうという。こうした日本の技術が、MTGの製品の品質と開発のスピードを裏打ちする。

 

松下は、日本西端の多島海に浮かぶ五島列島という場所で生まれ育った。そこは、高層ビルが立ち並ぶ世界的なメトロポリス•東京と同じ国にあるとはまったく信じられないほど、静かで美しい海が広がり、人々が独自の文化を育んできた場所だ。青年になって大都市で働くようになり、やがてベンチャー企業としてMTGを興した松下には、そうした日本各地に存在する小さな町や、地方の文化への強い敬意と愛情を胸に抱いている。高齢化が進み、地方の経済が縮小している中で、なんとか地方の魅力を発信し伝統技術や文化を未来につなげていきたいという熱い思いが、ベンチャー経営者としての松下を動かしているのだ。

 

宝島を探し続ける、日本のスティーブ・ジョブス

 

そして松下は、多角経営を否定しない。ReFaとSIXPADで成功を収めた今、さらに日本各地の素材や伝統技術を使ったプロダクトの開発を同時に進めているのだ。「我々MTGは、今まで誰もやっていなかったアイデアや製品をまず創造します。そして素材や技術をインキュベーションするだけでなく、ブランドを作ります。ブランごとにコンセプトを明確にし、このブランドはお客様に何を提供し、我々は何をすべきなのか。一つ一つ明確にすることが非常に重要です」と松下は語る。

 

いままで存在しなかったプロダクトを発案し、その美しさと機能性の両立を追求する松下の姿は、Apple社でMacやiPhoneなど革命的なアイテムを次々と誕生させたスティーブ・ジョブスにも重なって見える。

 

松下という独創的なアイデアマンと、日本企業の特徴である経営者と社員の親密な関係を合わせたのが、MTGという企業の姿でもある。取締役の長友は、「松下社長は部下がやるべきことをしなかった時、手抜きをした時はとても厳しいですが、一方で社員を家族のように思い親身に接してくれます。新しいチャレンジを次々と提示されますが、それを社員が解決したときは本当に心から喜んでくれるのです。社長が喜ぶ姿を見たいと思っていつも開発に取り組んでいます。」と話す。

 

一生懸命に働く社員を家族のように慕い、親身になって世話をする経営者の姿は、第二次世界大戦の敗戦から急速に発展した日本の、高度経済成長を支えた中小企業の古き良き伝統でもある。時代の最先端を行くアイデアとスピードに、日本の企業の良さが宿ったMTGの強みはそこにある。

 

「市場に出すプロジェクトは、必ず責任者の存在が必要になります。我々がその責任を背負い、日本各地に眠る魅力的な素材や技術を掘り起こし、世界に発信したい。そうして世界のユーザーに満足を提供するとともに、日本の地方文化や伝統技術も活気づけたい(松下)」。

日本での製品販売に成功した今、MTGは中国をはじめ巨大なアジア市場で売り上げを伸ばし、現在MTGはアジアと欧州でプロダクトの販売を行っている。2020年には北米を含めた全世界に製品の販売を拡大するという具体的な目標も掲げると同時に、新たなプロダクトの開発とブランドの立ち上げにも余念がない。今、最も勢いのある日本企業のひとつと言っても過言ではないMTGの今後から目が離せない。

株式会社MTG

事業内容:美容機器、化粧品、医薬部外品、フィットネス機器、HODキララの企画、開発、販売
所在地:愛知県名古屋市中村区本陣通り4-13 MTG第2HIKARIビル
代表者:松下剛
従業員数:787人
設立:1996
Web:http://www.mtg.gr.jp