圧縮空気用エアフィルター, 3in1マルチ・ドライフィルター

圧縮空気用エアフィルターの製造販売,ウレタン製品の製造販売,シェル中子の製造,新商品の研究・開発

株式会社前田シェルサービス  View Company Info

空圧で動く工作機械や搬送装置などに使われ、製造現場では欠かせない圧縮空気(コンプレッサーエアー)。それが、さまざまな製造不良や品質不良を生む原因となっていることを、ご存じだろうか。
トヨタ自動車の関連企業が多い愛知県岡崎市に生産拠点と本社を置く前田シェルサービスは、この圧縮空気の汚れを除去する高性能フィルターを生産、販売している。自動車や食品、医薬品、化粧品などの生産現場に広く導入され、製造品質の改善に貢献している。

圧縮空気の見えない汚れ

圧縮空気とは、大気をコンプレッサーによって圧縮し、体積を縮小させた空気のことだ。その圧力と大気圧の差が生み出す膨張力は、空圧ブレーキや原動機、シリンダーなどの機器の動力や、エアブローなどに利用されている。しかし、この圧縮空気の中には、水分や油分、鉄粉や粉じん、有害細菌やカビ、さびやカーボンなど、さまざまな汚れが潜んでいる。
英国のフィルター専門誌によると、浮遊不純物粒子が1億4000万個ある大気1立方メートルを、8気圧に圧縮すると、不純物粒子の数は11億2000万個にも増えるという。大気を圧縮することで、その中の汚れもまた大気の数倍~数十倍になってしまうからだ。
「空気は目に見えないだけに、不良品の原因が汚れた空気であることは見落としがちなんです」。前田シェルサービス社長の前田達宏氏は、圧縮空気に潜むリスクを、こう説明する。

同社が圧縮空気に注目するきっかけとなったのは1985年。自社で手がけているめっき処理事業の品質を改善するため、米国レマン社のフィルターを輸入した。めっき処理前の製品の表面の汚れを落とそうと吹きかけていたエアーが、実は不純物を付着させ、不良品を生む原因となっていたことが分かった。
圧縮空気の問題点に気がついた前田シェルサービスはまず、レマン社からフィルターの販売権と特許権を取得。さらに93年には、自社独自でゼロから構造を見直した圧縮空気用のフィルターを開発した。.

今でも見落とされがちな圧縮空気の汚れ。当時、フィルターの営業をゼロから進めていくには、目に見えない空気の汚れを顧客に実感してもらう必要があった。そこで同社は、レーザーを当てて固形粒子の数を測定する「パーティクルカウンタ-」を使って、圧縮空気中の微粒子数を測定する技術も独自で開発し、各国で特許を取得した。
「圧縮空気を測定するという概念自体が当時はなかった」と、前田氏はこの測定技術の意義を語る。これにより、自社開発したフィルターの効果を、目に見える数値で示すことができるようになった。

3イン1マルチドライフィルターが生む最高品質のエアー

現在、主力商品となっている「3イン1マルチドライフィルター」は、水滴や油分、細菌などを除去する3種類のフィルター機能を1つのユニット内に備え、0.01マイクロメートル以上の固形粒子を99.99%除去できる。
ユニット内に入った圧縮空気はまず、第1フィルターとなるサイクロン型の遠心分離器を通過し、水滴や油滴を遠心力で分離する。次にコットンとステンレスワイヤーの混合材質でできた第2のフィルターエレメントで、3~5マイクロメートル以上のごみや微粒子を除去する。
このフィルターエレメントを通過する際には、竜巻と同じ原理で真空状態に近くなることで水滴を気化させて、湿度も最高15%にまで乾燥させることができる。そして最後に、7層ものフィルターを重ねた第3のエレメントを通過し、オイルミストや0.01マイクロメートル以上の固形粒子を除去。
こうして生み出された圧縮空気は、ISO、HACCP、FSSC22000などの品質規格を十分に満たした品質を誇る。

第1フィルターであるサイクロンは圧縮空気の圧力損失がほぼないため、従来のステンレスメッシュのフィルターより約3割、省エネ効果がある。また、第2、第3のフィルターエレメントは6ヶ月~1年ごとに交換が必要だが、このサイクロンは交換不要のためメンテナンスコストも削減できる。
圧縮空気を最高品質のエアーに変えるこのフィルターを導入したことで、多くの生産現場が目に見える改善効果を生んでいる。
世界最大手の国内自動車メーカーでは、車体に塗装を吹き付ける際、圧縮空気に含まれる不純物が原因となって、塗装のムラやはじき、ピンホールといった不良を生んでいた。
そこで、圧縮空気を流す源流や末端に前田シェルサービスのフィルターを装着。ライン横には「パーティクルカウンタ-」を設置し、1分ごとに圧縮空気の汚れを自動測定して製造不良を防ぐ仕組みをつくった。この結果、再塗装などの手直しが必要な不良率が7%だったのが、0%に改善できた。この大手自動車メーカーでは、この成果を受けて、現在はすべての塗装ラインにこのフィルターを採用しているという。

他にも、同じ自動車メーカーの別の工場では、エンジン組み立てラインで使っていた「インパクトレンチ」という工具が、3日に1台の割合で故障していた。そこで前田シェルサービスがこの工具に使われている圧縮空気を測定したところ、0.3ミクロン以上の不純物粒子を10000個/リットル以上検出し、これが故障の原因であることを突き止めた。ここにもフィルターを導入することで、インパクトレンチの故障は1年以上ゼロとなった。これも「カイゼン」の好例としてこの自動車メーカー内で展開され、別の新たなエンジンの組み立てラインにも導入されることなった。

フィルターの活躍は、厳しい衛生管理が求められる食品工場でも、目を見張る成果を見せている。ある国内大手のビール工場では、ビールを容器に充填する時の異物混入防止に使用。スナック菓子メーカーの製造ラインでは、袋詰めの際に吹き込んだ空気が原因となるカビの発生を防いでいる。製パン工場では、コンベアーに使用していたエアーガンの圧縮空気内にある不純物を除去し、パンの品質向上につなげている。
前田シェルサービスのフィルターは、既に日本国内で2500社を上回る企業が導入しており、改善実績の事例は数え切れない。それだけ、圧縮空気が製造現場で広く使われながら、その弊害が見落とされていたということだろう。

フィルターを世界の製造現場へ

前田シェルサービスは現在、日本国内では数社の代理店を通じて、幅広い業界のエンドユーザー向けにフィルターを販売している。また、数社の大手工作機械メーカーでは、自社製品の品質向上の一環として、前田シェルサービスのフィルターを一部の機械に標準装備し始めている。

今後は世界市場への展開も力を入れる。日本国外への販路はまだ、韓国に販売代理店があるだけだ。社長の前田氏は「見落とされがちな圧縮空気の汚れを除去するフィルターを売るには、販売側がユーザーに提案していかねばならず、根気のいる営業が必要だ。しかし、生産現場の改善や製品の品質向上に意欲があるメーカーは、日本だけでなく海外にも必ずあり、需要はある」と力を込める。
海外で同様のフィルターを製造、販売している企業にとっては、販売ラインナップを拡充させるのに、前田シェルサービスの製品はうってつけではないだろうか。
日本の製造現場の品質改善に貢献している前田シェルサービスは、世界で新たな市場を一緒に切り開くパートナーを探している。

株式会社前田シェルサービス

業務内容:圧縮空気用エアフィルターの製造販売、ウレタン製品の製造販売、シェル中子の製造、新商品の研究・開発
本社住所:愛知県岡崎市池金町金山76-4
代表取締役:前田達宏
設立:1965年
従業員数:73名
電話番号:
本社 0564(48)2411
FAX本社 0564(48)6252
WEB: http://www.maedauni.co.jp

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