精密機械部品製造

超精密加工

株式会社蒲郡製作所  View Company Info

株式会社蒲郡製作所は精密機械の部品を製造する同社は多品種少量をモットーとし、僅か13名の従業員数ながら、国立分子科学研究所の実験装置や人工衛星の部品など、数多くの研究機関からの依頼を手掛けてきた。
薄板加工や複雑な形状の製品、歪みやすい削材を高精度に仕上げる事を最も得意と薄板加工や複雑な形状の製品、歪みやすい削材を高精度に仕上げる事を最も得意とし、±3〜5ミクロンの加工をも可能とする。
その確かな金属加工技術と、豊富な経験による提案力は高く評価され、2011年より日米や欧州を中心に、史上最高精度の望遠鏡をチリに設置するという一大計画に参加している。

「不可能を可能に」最難関の開発を実現させる技術力

2011年、国際的な天体観測プロジェクトに関する依頼が、愛知県蒲郡市の小さな町工場に待ち込まれた。「アルマ計画」と呼ばれるこのプロジェクトは、日米や欧州を中心に、史上最高精度の望遠鏡をチリに設置するという一大計画だ。この計画では、従来よりも高性能な高周波バンド10の電波望遠鏡が必要であり、その望遠鏡を実現するには、部品一つ一つにおいてよりシビアな精度が求められた。あまりに高いハードルから、海外からは開発が不可能と指摘されていた。開発を担当した日本の国立天文台は、不可能を可能にする優れた加工業者探し求め、宇宙関連の装置の開発を手がけていた蒲郡製作所に、白羽の矢を立てた。

アルマ計画で同社に持ち込まれた依頼は、宇宙から最初に電波を受けるアルミ製の反射ミラーと、電波を計測器へと繋げていくための導波管の製造であった。特に受信装置の主要部品となる電波反射ミラーは、複雑な構造の上に、形状誤差0.01mm以内という厳しい制約を課されていた。角材から削りだしていく作業を単純に行うとすぐに熱膨張による歪みが発生し、精度の高いものを作り出す事はできなかったという。徐々に厳しさを増す要求で他社が脱落していく中、同社は最新型マシニング機を導入、さらに仕上がりを統一するための治具の製造まで自社で行い、国立天文台の技術者と共に世界初の最高精度となるバンド10の電波反射ミラーを完成させるに至った。
昨年3月より本格始動したアルマ望遠鏡の受信装置には、同社の作る電波反射ミラーと導波管が使用されている。1年に及ぶ試作を経て世に出された同社の製品は、現在、宇宙誕生の秘密や生命の根源を探求する事を使命とし、宇宙研究の最先端を担っている。

「失敗は成功の母」蒲郡製作所の魅力の原点

同社の強みとして、前述のアルマ望遠鏡やJAXAが打ち上げるX線天文衛星ASTRO-Hを始めとする人工衛星、研究機関の検査装置などを手掛けてきた、豊富な共同開発の経験を挙げる事ができる。研究者から信頼を勝ち取っていった背景には、多品種少量という同社の方針に秘密が隠されている。
創業当時同社は、医療機器、光学機器業界の部品製造専門だったが、その後半導体や航空宇宙などの多くの分野に製品を提供するようになった。

様々な業界に対応するうちに同社の削材は多岐に渡り、アルミを中心に黄銅や樹脂、ステンレス、チタンの加工を行うようになった。また、特殊な材料としては18金や熱変化を起こさない銅タングステンなどの難削材も製品として送り出しており、多様な技術とノウハウによって顧客の要望に合わせた提案が可能だと、代表取締役の伊藤智啓氏は語る。
「多品種少量がゆえに製造過程でたくさんの失敗を経験してきたからこそわかる加工の工夫が、当社の強みです。上手くいかなかった原因を追求する事によって、形状や削材に合わせた歪み対策や治具の作り方、また業程設計の知識を蓄積させる事ができました。例えば、ある大手の精密化学メーカーからマンモグラフィーの光学系部品をご依頼いただいた際の事ですが、同社の下請け企業20社では加工による捻れが発生し、困っていると伺いました。そこで当社は1カ月の猶予をいただき、独自の工夫を施した歪みのない製品を作り出す事に成功しました。この事例からも現場ではチャレンジ精神を持って作業を行う事を奨励し、失敗から学んだ創意工夫で他社との差別化を図るようにしております」

「1年間で16億5000万円の削減」驚異のコスト削減を顧客にもたらした発想

蒲郡製作所にとって、マンモグラフィーのような実績は枚挙に暇がない。その一例として、国内最大手の光学機器メーカーから部品加工を請けおった際にも、同社の創意工夫は絶大な効果を生んだという。
従来、この光学機器メーカー内では厚さ0.5mm、直径250mmのアルミ製の板に鏡面加工を施すのに40時間を要していた。しかし、この加工前に同社が板の平面を20ミクロン削ることにより、メーカー内での工程は僅か3時間に短縮される。この圧倒的な短縮は同メーカーの経費を大幅に削減させ、年間で16億5000万円にのぼるコストダウンをもたらした。

驚異的な利益の改善を支えたのは、同社に蓄積された一連のクランプ技術だ。通常、これほど薄い板を歪みなく削る事は難しく、削材を均等に固定する事が重要なのだが、ここでも同社の工夫が遺憾なく発揮された。専用治具の制作を始めとした試行錯誤によって、他社では行われないような発想で削材を固定し、この薄板加工を実現へ導いた。

「お困り案件ならお任せを!」驚きと感動を与える“超精密サプライズ加工”

同社代表取締役の伊藤氏は金属部門の技術士補の資格を取得しており、これまで他企業の抱える製品や製造過程における難問にソリューションを提供してきた。
「当社は薄板加工や複雑な形状の製品、歪みやすい削材を高精度に仕上げる事を最も得意とし、難加工などのお困り案件こそ、私どもの出番だと考えております。加工業において図面は全ての基本となりますが、当社はさらに一歩を踏み出し、お客様に驚きと感動を与える『超精密サプライズ加工』の実現を図っています。

現在、当社では±3〜5ミクロンの加工を行っておりますが、この業界では20ミクロンレベルの精密加工を施す町工場と、0.1ミクロンなどのナノ加工を行う装置産業が併存しています。しかし、このナノ加工と精密加工の間、例えば1ミクロンなどの加工を少量で行う企業は存在しておりません。当社はこの中間領域に狙いを定め、1ミクロン、そしてサブミクロンといった超精密加工を少量でも受注できる企業を目指し、日々研鑽を続けております」

近年、航空宇宙業界で耳目を集める同社だが、医療機器・航空宇宙に限らず分野を横断した海外展開を志向している。中でも同社の強みである創意工夫と提案力で、加工が困難な製品や問題を抱える企業の負担を解決する事に注力しており、両者にとって付加価値をもたらす関係を築き上げるため、世界で幅広く出会いを求めている。

株式会社蒲郡製作所

業務内容:精密機械部品製造
本社所在地:愛知県蒲郡市御幸町28番10号
代表取締役:伊藤智啓
創業:1954年
TEL 0533-68-1155
FAX 0533-68-1156
WEB:www.gamasei.co.jp

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