精密切削加工技術, 縦横5軸マシニングセンター単品加工

株式会社今橋製作所  View Company Info
A tropical arowana by high-precision aluminium machining

製品の試作・開発用にどうしても必要な金属部品があるが、加工が難しく、作れる工場が見つからない。そんな技術の壁に突き当たった経験はないだろうか?今橋製作所は、そうしたユーザーの悩みに全力で応えながら、成長を続けるマシンニング企業だ。「難形状」「難削材」そして「アルミ精密加工」を得意とし、多品種・小ロットの精密な金属切削をメインに加工する。厚み30μ(SUS304)の超極薄加工も可能だ。耐熱・耐食性などが求められる特殊金属の切削も強み。すでに形のある物から部品を再現するリバースエンジニアの技術も高く、ユーザーと協働しながら積極的な設計提案で一から金属部品を作り上げる。部品の提供分野はエネルギー関連、医療機器、宇宙関連、自動車など多岐に渡る。

どうしても作れない金属部品の切削加工を実現するマシンニング企業

あらゆる金属材質と難形状の切削に最先端技術で対応

今橋製作所は、「難形状」「難削材」そして「アルミ精密加工」を主軸に、試作・開発向けなど多品種・小ロットの精密な金属切削を中心に加工する企業だ。同社の金属加工品のユーザーは、火力、水力、風力、原子力などのエネルギー関連や、医療機器、宇宙機器、二輪四輪、ロボットなどの開発、そして照明器具、半導体製造装置、また研究機関や大学など非常に幅広い分野にまたがる。同社の特徴である「積極的な設計提案」がユーザーの信頼を得て、切削加工の依頼は今も増え続けている。

難形状加工は、複雑な形状や三次元形状などを、3Dモデリング技術を駆使しながら機械加工を行なう分野だ。同社が所有する5軸マシニングセンターのMAZAKなど、最先端の加工機械と技術を駆使する。例えば発電所内のタービン関連の部品、最先端医療機器など、部品形状の微妙な差異が製品の使用現場で大きな変化を及ぼしてしまう分野に関わる難しい加工だ。近年高まっている軽量化へのニーズから、厚み30μ(SUS304)の超極薄加工にも対応している。

難削材加工は、インコネル、ハステロイ、モネル、タンタルなど特殊金属で被削性の悪い材質の加工を行なう分野。航空機向けの64チタンや、純クロム、モリブデンなどレアメタルの開発向け切削加工も数多く手がけている。特に同社では原子力関連の部品切削に長年の実績があり、そこで培った技術を他分野にも応用、新たな特殊金属や加工方法にも積極的に挑戦し成果を納めている。

アルミ精密加工では、アルミの薄肉加工に加え、高いデザイン性を求められる質感重視の切削加工と表面処理を得意とする。数年前には日本の大手自動車メーカーからの受注で、日本の伝統工芸である日本刀ように薄くシャープなドアパーツを制作した。三次元が必要な部品で、加工方法を手探りで試したが当初は苦戦。年末年始の休暇を返上して取り組むことで、薄肉加工で軽量化とともに強度も確保した。同社は現在でも定期的にこうしたドアパーツを大手メーカーに納めている。アルミ加工では、薄さの上に「美しく仕上げる」ことに力を注いでいる。メーカーが製品の筐体を作る際、見本となるスマートフォンなどの表面加工を提示し、同じように薄く、美しく加工してほしいという注文を受けることも少なくないという。アルミでは薄肉加工に加え、仕上げの研磨まで一貫して加工することができるのが同社の強みである。

 

積極的な設計提案でユーザーの信頼を勝ち取る

同社が所有する5軸マシニングセンターのMASAKは、通常のX軸Y軸Z軸の直行軸を用いた三次元加工に加え、回転や揺れといった軸を追加することで、複雑な加工に対応する。加工サイズは、3,200×1,400mmまで社内での加工が可能だ。最先端の加工機械を、確かな技術を持ったオペレーターが使いこなす。ただ、全ての加工が高性能機械を用いて行なわれるわけではない。「従来の汎用旋盤機の方が精度が高く加工出来る場合もあり、ひとつひとつ、オーダーされた加工によって機械を使い分けることができる」(今橋正守社長)も、同社の強みである。

また、積極的な設計提案では、図面を持たないユーザーとアイデアを共有、一から設計制作を提案することでユーザーに好評を得ている。非接触測定など、既存の部品・製品から新たなパーツを生産するリバースエンジニアリングの技術も高く、ユーザーにとってはアイデアを実際の部品に具現化するまでの時間が大幅に短縮でき、大きなメリットとなる。医療分野では、大学病院の医師と共同で医療機器の開発に携わり、世界最先端の手術に同社の加工部品が使用された実績もある。短納期も同社の特徴だ。まるで日本の高速鉄道・新幹線のように、正確かつスピーディに加工し、ユーザーに部品を届けるのが同社の使命でもある。

 

写真の意識改革で成長を続ける

加工現場の工場に入ると、意外にも20、30代の若い工員が多いのに驚く。同社は今橋の祖父が53年前に創業。その後を父が継ぎ、2011年に今橋が社長に就任した。今橋は大学で機械学を専攻。卒業後は一般メーカーで開発を担当していたが、2008年に今橋製作所に戻っていた。当時の同社は大手メーカーの「来た仕事をやるだけ」の完全な下請けの金属加工業。そこでまず今橋が取りかかったのは社員の意識改革だった。高齢化が進みマンネリ化していた社内で、やる気のある若手を積極的に登用。あえて難しい仕事を任せることで技術を磨かせ、5軸加工など最先端のマシンも徐々に導入した。一般企業の経営を知り、技術も理解できる今橋の改革は少しずつ浸透し、数年後には技術力を買われて大手メーカーと直取引を行なえるまでに成長したのだ。そうした意識改革が今の同社の成長を支えている。

 

逆境を覆し、世界の最先端技術を狙う

「ユーザーの要望を聞いたとき、少し躊躇してしまうくらいの複雑で難しい仕事、そのくらいのレベルの仕事をやり続けないと会社として成長できない」。今橋はそう断言する。「さらに今の時代、薄さや機能だけでなく、製品の見た目もカッコ良くないといけない。そこで付加価値が付くのだから」。今橋は、日本の製造業が中国やアジア諸国にシフトしつつある今、逆境を覆す独自の哲学でさらなる成長と海外進出を見据えている。富裕層向けの高級デザイン製品など、品質に加え質感や形状も重視した加工、そしてエネルギーや宇宙、医療関連の最先端技術がターゲットだ。「海外のメーカーには、自国に解決できなかった加工を、ぜひ日本でトライして欲しい」。今橋は自信を持ってそう語った。

株式会社今橋製作所

業務内容:多品種小ロットの切削加工
難形状加工、難削材加工、アルミ精密加工、溶接、鋳物加工、プレート加工」
本社:茨城県日立市十王町伊師20-42(伊師工業団地内)
代表取締役: 今橋正守
設立:1964年
オフィシャルサイト: www.imahashi-ss.jp