Rapid Prototyping of Precision Machining

精密機器部品、精密機械部品、試作加工、 医療機器部品、科学計測器、航空機部品、 特殊車両、真空機器、治具設計・製作

HILLTOP株式会社  View Company Info

HILLTOP株式会社は、自動車関係部品の量産品加工業として起業したが、現在は1個、2個の試作品アルミ加工に特化して急成長を遂げている。しかも、最先端のものづくりの仕組みを構築し、日本中のものづくり企業から注目を集めている。
そんな山本精工が、本拠地京都から飛び出し、次なるフィールドとして選んだのは、東京でも中国でも東南アジアでもなく、アメリカ西海岸だった。

次なる舞台をアメリカに選んだ理由、そして日本の中小企業のものづくりはアメリカで勝負できるのか。
HILLTOP株式会社アメリカ事業部長・山本勇輝氏、広報担当・鳴瀬耕平氏にお話をうかがった。

オフィスと現場を完全分離し、短納期化と品質向上を実現

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– 御社は、アルミの試作部品に特化し、多品種少量加工しておられるんですよね。
山本:当社の仕事の約8割が1個か2個の超小ロット加工です。しかも、ほとんどすべてを夜間の無人加工で生産しています。昔は、自動車部品の下請け加工工場として量産部品の加工をしていましたが、25〜30年前に「ものづくりの源流で仕事をする」ことを目指して、アルミの試作加工に注力する方向に事業の舵を切りました。

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– 夜間無人加工で、職人の技術は生きてくるのでしょうか。
山本:以前、当社は職人がすべてという現場主義の会社でした。機械の前に立って機械を操作するのは人間の仕事でした。ものづくりの会社って、普通はそうですよね。しかし、試作品加工に特化して以降、さまざまな変遷を経て、当社ではデータや情報を反映したプログラミングをコンピュータ上で完結させることが人間の仕事で、ものづくりは完全に機械に任せれば良いという考えに移行してきました。

– つまり、機械を動かす現場では、指示書に従って機械に設定を入力するだけなんですか。
山本:そうです。プログラミングの時点で、当社のものづくりに関する技術的なノウハウは、ほぼすべて反映された状態です。これは『オペレーションリスト構想』と呼ばれる社内プロジェクトで、プログラムの最適化やノウハウを数値化し、プログラミングに反映させるシステムを約1年掛けて構築しました。会社の知恵やノウハウのほぼすべてを製造現場ではなくプログラミングの側に集約したのです。これにより、プログラミングを行うオフィスと、機械を動かす現場を完全に分離できるようになり、プログラミングデータを受け渡しするだけで、精度の高い製品が作れるようになりました。

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– 『オペレーションリスト構想』は、リーマンショックがきっかけだったとおうかがいしました。
山本:あの時は一気に仕事が減少し、外注先はこれまでの実績に関係なく淘汰されると予測できました。同時に、今後当社が選ばれる企業になるにはどうすれば良いか考えたんです。そして生まれたのが『オペレーションリスト構想』でした。

鳴瀬:プログラミングを行うオフィスと、機械を動かす現場を完全に分離することで、プログラムスピードの高速化や若手スタッフの即戦力化を実現できました。構想着手前と比べてプログラミングスピードは約3倍、しかも入社して1〜1.5カ月以内に5軸加工機のプログラミングができるようになっています。

– 今はものづくりの現場に職人はいないんですか?
山本:もちろんたくさんいます。プログラムに落とし込むには、職人の経験則や勘、知恵をデータベースに数値化して落とし込む作業が必要です。この研究は純然たる現場主義によってしか進みませんし、現場改善にも職人の技が必要です。職人がいなくても機械を動かせるようにするには、やはり職人が必要なんですよ。ただ、やるべきことが変わっただけです。

最高峰のものづくり市場で自分たちの力を試したい

– 本社の次の事業拠点をアメリカに決めた際、東京や中国、最近話題になっている東南アジアなどは検討されなかったんですか?
山本:実は、先に東京に事業拠点を作るつもりだったんですよ。アメリカ進出は東京の次に予定していて、同時にプロジェクトが進行していました。その矢先、東日本大震災が発生してしまって……。日本国内の新製品開発に関わる試作の市場を狙うつもりでしたが、新しいマーケットを日本国外で見つけるチャレンジを優先しようと考えました。

鳴瀬:アメリカにはシリコンバレーがあり、世界中のものづくり企業が目指す最高かつ最先端の現場です。そこで当社の技術やサービスを試したいという想いがありました。あと、この進出を決めた副社長の山本は「空が青いから」ってよく言ってましたね(笑)

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– 空の青さですか、面白い(笑)。「メイド・イン・ジャパン」は海外で強いと言われますが、本当にそうなのか確かめるという狙いはありませんでしたか。
山本:そういう気持ちもあります。今回はシリコンバレーに近いオレンジカウンティにアメリカ法人を立ち上げましたが、これには理由があります。オレンジカウンティがあるロサンゼルス近郊にはシリコンバレーの約4倍、しかもさまざまな業種が集積しています。当社は京都でもクライアントの業種が、医療や航空機、精密機械部品、さらにはオートバイレースや映画関連など多種多様。まずアメリカでのビジネスを軌道に乗せる視点からも、アルミ加工製品なら何でも作れる点が強みになるのではないかと考えて、進出エリアを決めました。

– 確かにシリコンバレーなら、半導体やそれに付随する業種が圧倒的に多いでしょうね。現地でそうした地域性やニーズを体感されたんですね。
鳴瀬:MD&Mという医療関係の展示会に出展した際、なぜか航空機関連の会社やNASCARというアメリカのカーレースのチームから引き合いや質問が来たんです。医療関係企業のブースに出していたはずなんですが(笑)

-海外でビジネスを展開する方法として、現地に法人を設立して進出する方法と、インターネットを活用して海外に法人設立をせずに進出を目指す方法があります。なぜ海外で法人設立する道を選択されたのですか?
山本:海外法人を設立せずにインターネットを活用して日本で受注する方法は、信用の問題があります。やはり現地に法人がある方が信用度も高いですし、細かいフォローができますから。オンリーワン技術を持つ企業以外は、現地に法人を設立しないとローカル企業に勝てないでしょうね。逆に、オンリーワンの技術があれば、日本に居ながらにしてグローバル市場で十分に戦えると思います。

品質よりもコスト優先「仕組み」を武器に勝負!

– 海外で日本製品が勝負しようとすると、必ず技術や品質、コストの話になります。日本アメリカの差は実感しましたか。
山本:まずアメリカ全体のものづくりの技術は、日本に比べて高くないと考えています。もちろん当社以上に高い技術を持つ企業もありますが。

鳴瀬:品質に対しては、あくまでコストありきなのがアメリカです。もちろん最低限の品質をクリアする必要はありますが、過剰な高品質は特に大きな付加価値になりません。アメリカはコスト最優先の国だと実感しています。

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– ならば、高コスト体質と言われる日本企業は、アメリカに進出しても勝機が薄いんじゃないですか。
山本:当社と同程度の技術や品質を持つ会社と比較すると、実はアメリカ企業の方が高コストなんですよ。例えば、アメリカで5軸加工機を扱える職人の人件費は、一人あたり1,000万円を超えるんです。職人は高く自分を買ってくれるところにすぐ転職するように、人材流動性が高いのがアメリカ。そのため、企業は高賃金で雇用した即戦力の人材をつなぎ止めるために,日本よりも高いコストを払っているんです。ここに我々の勝機があると考えました。

– アメリカには、どういった形で進出されるんですか。.
山本:アメリカに5軸加工機を設置し、プログラミングは日本で行います。要はアメリカで受注した仕事は、日本でプログラムデータを作成し、データをインターネットで指示書とともにアメリカに送ります。アメリカでは機械に材料をセットし、指示書通りに5軸加工機を設定してボタンを押し、夜間に無人で稼働させて製品を完成させます。アメリカ側に職人的な知識は一切必要ありません。これならアメリカ企業よりも安いコストで5軸加工機を稼働できます。

−京都本社内の現場部分だけをアメリカに持っていくというイメージですか。
山本:そうですね。実はこのオフィスと現場を分離する仕組みは、日本では品質とスピードを強みとして追求した結果、生まれた仕組みなんですよ。しかしアメリカでは、まったく同じ仕組みでコストを強みにできます。もちろん、この仕組みを作った時には想定外でしたが(笑)

– 御社の特長である、オフィスと現場を完全に分離する仕組みを最大限に活用しているんですね。
山本:当社のものづくりの仕組みなら、環境や設備が整えば日本のオフィスとアメリカの現場をつなげることも問題ありません。プログラムの作成作業や人材育成を日本でできるのも当社の強みです。アメリカよりも人材流動性は低いので、京都本社でじっくりと人材育成ができる。また、海外からの仕事で、日本国内の雇用を増やしたいという当社の想いも実現できます。

– アメリカでは、この仕組みでずっと勝負されるのですか。
山本:将来的にはどうなるかわからないですね。やはり、コストの問題がなければ『地産地消』がベストなのは間違いありません。しかしながら先述の通り、日本での雇用を増やすというミッションがあるので、当面はこの仕組みで勝負するつもりです。

新事業も全世界展開し、シリコンバレーを目指す!

– アメリカ進出で特に苦労している点はありますか。
鳴瀬:アメリカはすべてが契約社会で、それに慣れていない頃は苦労しました。何度も同じ指示をして、確認をして、念を押す。これを繰り返さないと動いてくれません。そこがまず日本と全然違います。

山本:同じことを何度も何度も言わないとダメ。相手のスケジュールを変えさせるぐらいにしつこく言わないと、我々の依頼の優先順位が下がっていくんです。あと、必ず文書に残すこと。電話だけでは、都合が悪くなると必ず「そんなことは聞いていない」と言われます(笑)

– 新事業として取り組まれている治具や画像系検査装置を製造・販売する装置開発事業も、アメリカ進出で大きな刺激を受けそうですね。
鳴瀬:シリコンバレーには優秀な人材もいるし、ゆくゆくは装置開発事業でもシリコンバレーの人材を活用できないか、という想いもあります。世界最先端&最高峰の舞台には最高の人材が集まるはずですからね。

山本:開発メンバーも力をつけてきていますし、シリコンバレーのベンチャーと協業しながら、世の中にない新しい製品を開発できたら最高ですね。拠点展開だけでは面白くありませんからね。

– 最終的にはシリコンバレーを目指すんですか。
山本:シリコンバレーは、半導体やコンピュータ関連に特化していますが、新規取引を受け入れる間口も広く、日本企業であることもハンデにはなりません。新しいものにも拒否感はありませんし、ベンチャー企業に対する投資額も世界最大です。当社の海外進出にふさわしいエリアだという想いは変わっていません。単純に私の思いですが、シリコンバレーへの進出はもちろん、ヨーロッパやアメリカ東海岸などへも拠点展開を目指したいですね。

鳴瀬:大きなチャレンジだけに、本気で骨を埋める覚悟が持てる場所でやらないと、成功するまでやり続けられないかもしれない、と実感しています。そう考えると「ロサンゼルス近郊ならやれそうだ」と感じました。中国ではそう思えなかったかもしれない。空の青さって偉大ですね(笑)。

HILLTOP株式会社

業務内容:精密機器部品、精密機械部品、試作加工、医療機器部品、科学計測器、航空機部品、
特殊車両、真空機器、治具設計・製作
京都本社住所:京都府宇治市大久保町成手1-30
TEL:0774-41-2933
FAX :0774-41-2926
Email:hilltop@hilltop21.co.jp
代表:山本 正範
設立:1980年
オフィシャルサイト: http://www.hilltop21.co.jp
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