High Precision CNC Machining and Assembly

精密切削加工, 複合加工

株式会社エムテック  View Company Info

長さ15mmで外径6mmの小さな丸棒材を小型NC旋盤で僅か2/100mmに切削する技術は、切削加工の世界では不可能とされ、誰も挑戦するものがいなかった。しかし2011年、ドイツで行われた世界一の医療器械系展示会『コンバメイト』で、世界の技術者たちは、わが目を疑った。
展示会の一角に、興奮と熱気に包まれたブースがあった。そのブースでは、あまりの難易度に設計段階で技術的に不可能の烙印をおされていたはずの製品があった。それを可能たらしめた技術に、ブースを訪れたある技術者が「どう使っていいか分からない、これはすごい」とため息混じりに呟いた。後ろで見ていた別の技術者からは、「外科で使えるんじゃないか?」「いや、冷凍手術に使えるはずだ」、「純金で作れないか?」、この製品と技術を巡って新しい事業アイディアや使用シーンの可能性が、英語で、ドイツ語で、ブースに響き渡った。
注目されている点は、難加工材といわれるステンレス、真鍮、そしてチタン素材を用いたΦ4.0よりΦ0.5×10mm(アスペクト比20倍)への精密加工技術だ。通常、旋盤で微細長尺加工を行うと、弾性変形を起こしてテーパーになるなど欠損を起こす。そこで、特殊なマイクロNC旋盤の使用とこれまで培った微細ネジ切り加工、及び複雑形状加工技術に加えて、電荷結合素子(CCD)カメラを用いた補整システムを核に、外径寸法公差±2μmを一体部品として、一工程で達成した。

 

製造業から創造業へ

株式会社エムテックは、有限会社松木製作所として1961年に創業。当時は、ベンチレースという卓上螺旋版で計測器部品の製造を中心に手がけ、その後エンジン機器や自動車部品製造へと事業の幅を広げ、1991年名称を株式会社エムテックとした。実質的に会社を牽引する専務取締役の松木徹(37歳)は、エンジン好きが高じて工業高校へ、その後アメリカ留学を経て、工作機械メーカーに入社、3年間の勤務後、24歳のときに(株)エムテックに戻った。
当時から、機械に対する知識と技術は群を抜いていた松木は、小物丸物加工のみしか出来ない自社へのもどかしさがあった。マシニング加工、ライス盤加工、魅力的な技術を目の前に、自分の腕を試してみたい挑戦心は高まるばかりだった。しかし父親であり、社長でもある松木寿一からは「マシニングはマシニング工にまかせたらいいんだ」の一言。更に、2006年には常務就任の辞令が出され、一体経営者として何をしていいのか全く分からないなかで、松木徹は、自分の時間を使いながら仲間と試作品作りへ挑戦など、出口を求めて悶々とする日々が続いた。
そして、2008年のリーマンショックを迎える。(株)エムテックも例外なく売上がガタ落ちした。そして周りでは倒産する企業が出る中、松木徹は自社を振りかえった。倒産した会社と比べたとき、「自社は小物丸物加工に特化しているおかげで、丸物ではコスト力も設備力も負けていない。何でもできます、と謳っていた会社ほどつぶれた。結局そういう企業は、何でも中途半端で、強みがない。」そう気が付いた。なんでもかんでも自社の旋盤やりたい、できる、という考えた方ではだめだ。丸物以外はプロに任せよう、連携しよう。自分は、丸物加工技術を極めて、新しい価値創造を担おう、松木徹のなかで自分の仕事が製造業から創造業として生まれた瞬間だった。

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超精密複合切削加工技術の誕生

「技術的に不可能と線を引かれているため設計ではみんな逃げています。ところがこれができるようになると、大変なことになります。」リーマンショック直後、ある医療機器メーカーが1枚の図面を持って松木のところに相談に来た。相談内容は、「とにかく細くて、ながくて、先端医療現場で使用する医療器具の部品製作だった。」それも自社が強みとする小物丸物加工だった。
しかし、これまで手がけてきたものとは桁外れに製品化が困難で、不可能の烙印をおされていた代物。先方からは、「これ加工できんの?」と聞かれたが「いやーこれうちじゃあ難しいなぁ、同業者に聞いてみます」と、同業で細モノを得意としているとこに聞いてみた。しかし結果は、「いや、これは曲がっちゃうよ、これは(あまりの細さに加工途中に)おれちゃうよ」と、製品化できる技術を持った企業がなかった。

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これができたら大変な事になる、図面の持ってきた人間の言葉が脳裏に思い出された。そして、松木徹の挑戦が始まった。折しも、2009年から経済産業省から受けていた新規技術開発支援が医療分野に指定したことも、挑戦を後押しした。どこにもできない切削技術を必要とする微細加工。だが、難加工材を相手に、エムテックが通常行うやり方で微細長尺加工を行っても、欠損が発生するだけ。松木ほどの技術と知識を持っても途方に暮れた。
そこで、大学をはじめ関係機関を巻き込んだ。まずは、微細加工に関して電荷結合素子(CCD)カメラを用いた研究をしている大学教員の協力を仰いだ。加工材の曲がりに対して、現状の装置では対応できない課題に対して、CCDカメラを導入し、切削機と切削している距離をリアルタイムで監視しながら、問題が発生するタイミングを見極めながら作業を進めた。

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そして、20,000回を超える試作を経て、ついに技術的に不可能といわれた部分に対し手、松木ならではのアイディアで、しかも一工程で製作を可能にする微細加工技術が確立した。こんな事ができる技術者は世界中どこにもいない。大変な事になる、図面を持ってきた担当者の言葉はウソではなかった。2011年、ドイツで行われた展示会で、「大変な事」は現実のものとして、松木の目の前で起こった。

世界の潮流を日本へ、サムライの挑戦

松木の視点は、足元である日本を見据えつつ、同時にドイツへ、アメリカへ、その眼光は鋭い。特に医療業界の中でも、歯科系など小型インプラントを必要とする分野において、安全性の向上に貢献でき、かつ低コストで提案できる、松木が確立した技術方法の営業を通じた案件形成を狙っている。「脳外科に使われるような鉗子とか、内視鏡の他のメーカーさんもやっているので、とにかく大量生産できないのでニッチなところを攻めたい。本当に微細加工技術でいうと子供用のインプラントとか。結構医療器具って成人の元気な人にしか使えない。だから高齢者は飲めないし、子供ダメだっていうところで、もう少し使い勝手のいい、予防とかに使えるものとか考えている。」そのためにも、世界への第一歩としてまずは実績作りたい。自立した形で進出し、件数は1件でも2件でも、売上は数万でも、数十万でもいい。事業化に向けて、この秋には医療機器の品質保証の国際規格「ISO13485」の認証取得を目指し、世界から引き合いを取り、日本で生産し各国へ輸出したい、松木の挑戦は今始まったばかりだ。

株式会社エムテック

業務内容:精密切削加工,複合加工
代表取締役:松木 徹
創業:1961年9月
従業員数:30名
住所:茨城県ひたちなか市津田東2-3-1
電話番号:029-272-4310
FAX:029-275-1750
オフィシャルサイト:http://www.m-tech61.com
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