Paperglass, Screw

薄さ2mmの新時代の老眼鏡

株式会社西村プレシジョン  View Company Info

ペーパーグラスは、薄さ2mmと超極薄で、軽量かつデザイン性を兼ねた新時代の老眼鏡だ。西村プレシジョンが近年開発し、日本国内で大ヒット商品と なった。中小企業としては珍しく、眼鏡を展示し試着できる対面販売の実店舗Paperglass FUKUIも設けた「眼鏡界の異端児」は、これから世界の市場へ飛び立って行く。

IT業界からの転身、家業の再建を目指して

社長•西村昭弘(36)は眼鏡の世界三大生産地である福井県鯖江市で生まれ育った。実 家も眼鏡の部品メーカーだ。西村は次男だったため、大学卒業後は東京のIT企業へ就職。しかし入社1年目の年末、故郷から上京してきた父親に、「家業が大 変だから帰郷して手伝ってくれ」と、生まれて初めて頭を下げられて帰郷を決意。眼鏡の生産現場が続々と中国に移っていたことが苦境の原因だった。

paperglass047当 時の西村は、眼鏡の仕事が中国に移っている以上、眼鏡以外の仕事を受けるしかないと考えた。自らの立場を「営業」と位置づけ、現場に立ちながらもIT業界 での経験を生かすべく金属の精密加工を行うB2Bのサイトを立ち上げた。当時、ネットでB2B、しかも金属加工を行う会社など皆無。当然、周囲の同業者か らは白い目でみられた。それでも同社の強みである「チタン加工技術」を推し出すと、少しづつネット経由で各種業界からの仕事が入り始め、業績は徐々に回 復。しかし、今度は周囲からのやっかみを受け、本業の眼鏡の下請けの受注が減少してしまった。「これで余計に心に火がつきました。もっと新しい仕事を取っ てきてやる!とね。」、と西村は当時を思い出す。

中小企業は下請けの受注によって経営が左右されるため、自社で最終製品を作ることが長年の 望みだった。西村は、「眼鏡の街の会社だから、眼鏡で勝負したい」と、素直に考えた。当時の業界では、老眼鏡は安いもの、デザイン性にはこだわらない、と いうのが常識。デザイン性を兼ね備えた老眼鏡はほとんど販売されておらず、高級なブランド製品で着飾ったシニアでも、老眼鏡だけはおしゃれに欠け、高くて も数千円の物しか作られていなかった。老眼鏡=年寄り、という世間のネガティブなイメージにこそ商機があると直感し、西村はおしゃれな老眼鏡の開発に着 手。「ただ、モノがあふれる時代、良い商品というだけでは売れず、いかにその価値を伝えて行くかが重要」という視点を、西村は同時に持って開発に望んだ。

 

ペーパーグラスの誕生、既成観念を打ち破ってネットで販路を拡大

 

paperglass050眼 鏡のフレームと耳にかける肢の接合部分を工夫することによって、真っ平らで薄さ2mmの老眼鏡、ペーパーグラスが開発された。2010年に販売に漕ぎ着 け、既存の流通経路には頼らず、ネットによる自社販売にこだわった。「直接顧客とつながるからこそ、何が求められているのか知ることができ、かつ適正な価 格で販売できる」、というのが、金属加工のB2Bで学んだ信念だったからだ。価格も1万円以上に設定。老眼鏡は安価な商品が普及していたが、既成観念を覆 すという強い思いも価格設定に映した。周囲からは絶対に売れないと反対されたが、「自信というより信念。この商品にはそれだけの価値があると信じていまし た」。掛け心地やデザイン性、耐久性などが評価され、売り上げは徐々に伸びていった。

グッドデザイン賞を受賞、一躍入荷待ちの人気商品へ

西 村は次にグッドデザイン賞への応募を試みた。その薄さが評価され、2013年には特別賞を受賞。そして2014年、「クールジャパン」の一環として、イタ リアのミラノで開催される展示会への出展の誘いを政府経由で受けた。イタリアでは予想を超えるほどの反応を受け、この展示会での評判が日本国内の大手日刊 紙で紹介されたことにより、ペーパーグラスの日本国内での注文は爆発的に増えることになる。評判が評判を呼び、現在では日本国内の60に及ぶ眼鏡小売店に 商品を供給し、注文は3ヶ月待ちという人気商品となった。海外の5カ国でも代理店のパートナー契約を結ぶ。

新しい価値を創造した老眼鏡、そして日本から世界へ

 

paperglass014「老 眼・老眼鏡がネガティブであった従来のライフスタイルが、ペーパーグラスを持つことで、本人だけでなく周囲にも驚きや感動として広がる。それこそがペー パーグラスの価値であると感じています」と、西村はその意義を語る。同時に、1万円以上は売れない、日本国内ではコストが合わないといった業界の通念を覆 し、産地•鯖江でも老眼鏡の製造を拡大する動きが波及効果として出ていることも喜ばしい。今後は、顧客にただ「ほしい」、「いいね」と思われるような、本 来の意味での日本ブランドの確立を目指す。そして、次のステップとなるのが、海外での対面販売だ。2015年は、海外での実店舗展開を予定する。欧米とア ジア•中東地域に3年以内に販路を確保することが当面の目標だ。

株式会社西村プレシジョン

業務内容:NC旋盤加工を中心としたチタン精密部品加工
住所:福井県鯖江市丸山町3-5-18
代表者:西村昭宏
創業:1994年
従業員数:5名
電話番号:0778-51-0127
FAX:0778-51-2348
オフィシャルサイト:
チタン精密部品加工専門 http://www.nsmr.jp/
ペーパーグラス http://www.paperglass.jp/
株式会社西村プレシジョン様へお問い合わせをご希望される企業の方は、直接上記の連絡先までご連絡をお願いします。 お問い合わせの際はインデックスライツのポータルサイトをご覧になられたとお伝えください。