超高精度研磨技術

Ohori Grinding Company  View Company Info

あらゆる素材にミクロンレベルの研削を実現させてきた、日本屈指の超高精度な研削加工技術を誇る大堀研磨工業所。「研削できないものはない」の言葉通り、不可能とされる素材や形状に挑み、0.001ミリ(1μm)の研削精度を保証してきた。高度な研削技術を有する職人集団に、自社内検査室によるスピーディーな高品質保証体制、数万通りの研削条件を徹底的に検証する不屈の挑戦心など、まさに日本高精度研削業界のトップを走る企業である。同社の超高精度研削は工作機械・航空宇宙・医療の最先端技術を支え、未知の未来を切り開く。

0.001mmの精度に全神経を注ぐ

航空機産業の集積地である工業都市、岐阜県各務原市にある高精度研磨工場。円筒、内面、治具など50台に及ぶ研削機械が稼動し、40人の職人がそれぞれの研削盤をにらんでいる。砥石のすべる音、熱を放出する水の音のほかに、工場内にほとんど音はない。職人達は、嗅覚や聴覚といった全感覚を研ぎ澄まし、操作盤から決して手を離さない。難研削材におけるミクロン精度の闘いは、常に熱量のコントロールが重要で、工場内には緊迫した空気が張り詰めている。

2013年、ヨーロッパのF1関連メーカーから内々に打診があった。難しいとされる細長物の超高精度研削が可能との情報を得ての依頼だ。それは「特別なレースカーのシャフトの研削ができないか」というもの。社内で開発を担ったのは最も腕の立つ研削職人だった。彼は、当初、その難易度の高い図面に震えたという。精鋭職人チームと自社内の検査協力体制が組まれ、一年半にわたる挑戦がはじまった。特注の真円度測定器や三次元測定器を用いた検査室との連携は開発にスピードと安定感をもたらした。しかし、海外で温度などの条件がわずかに変われば0.001mmの誤差や振れが生まれる。絶対的な安定研削との果てしない闘いは長かった。機密漏洩に気を使い、社内でも限られた人間しかその研削現場を目にすることはできないように徹底したという。そして、振れなく研削され、最高レベルの高速回転を可能にしたレースカーのシャフト研削は成功した。職人の高技術、万全の検査体制、設備の充実は大きな役割を果たしたが、何より更なる高精度を求めて数百万通りの研削条件を根気よく試し続けた、職人チームの不屈の挑戦心がなければなしえなかった。その地道な努力を、依頼したメーカーは高く評価したという。同社の大堀社長はこう自信を深めた。「我々に研削できないものはない」。

 

高精度への挑戦は人類の未来を切り開く

同社の高精度研削が可能性を持つのは工作機械、航空宇宙の分野にとどまらない。それは、あらゆる分野での夢の実現、発想の転換、未知の発見に貢献できる。例えば、従来、アルミやステンレス、イコンネルなどは熱に弱く、高精度研削に不向きと諦められてきた。しかし、アルミのように軽量で頑丈な素材の超高精度研削がなしえればどうだろう。軸受けを従来の素材から変えるだけで、思わぬ軽量化、安定化、高速化をなし得るかもしれない。例えば、同社は高温特性に優れたインコネルの外径研削において、φ570mm,x2000mmまでに対応するが、細長物の振れ止めや歪み取りを使いながら、超高精度に仕上げる技術は他社の追随を許さず、その応用幅は広い。ユニークな開発のひとつを紹介しよう。CFRPという難研材における複雑な形状の研削である。鉄より強く、アルミより軽い素材で、医療用X線画像診断機器にうつりにくいという優れた特徴を持つ。しかし、固くて、熱加工に弱いといった理由から、研削に不向きな素材であった。この開発は同社の技術を偶然知った、医療器具分野の研究者がひらめいたものだった。「CFRPを高精度に研削できる技術を持っている?では、人口骨を支える橈骨プレートやX線にうつらない手術器具ができないだろうか。」研究者にとって同社との出会いは思いもよらぬ幸運なめぐり合わせとなった。その依頼に対し、日本屈指の研削開発集団の答えはもちろん、YESだった。同社に不可能という答えはない、あるのは挑戦のみ。例え、それがどんな素材で、どんな形状で、どんな特徴を持っていようとも。

 

工作機器から航空宇宙分野まで、挑戦こそ高い技術を育てる

同社は2008年に岐阜県の航空機部材研究会に参加し、2010年に航空宇宙防衛分野の認証資格「JISQ9100」、2011年に「医療製造認可工場」を取得した。常に高い研削技術を応用しようとする工作機械、航空宇宙、医療分野の声に応えるため、社内体制を整え続けている。顧客の依頼に応えるために設けた、最も特徴的な設備は、第二工場の恒温検査室である。φ600×900.mmの大型測定ができる特注の真円測定機具や三次元測定器を設置、技術スタッフを育成・配備している。同社に寄せられるのは一個単位の開発が多く、求められるのは他社には真似できない品質である。例えば、「細いものや長いもの」、つまり、曲がりやすく歪みやすいもの、といった熱量をコントロールしにくい素材はよく依頼を受ける。他にも固いものや変わった形状など、他で断られた仕事が舞い込む。研削そのものが不可能とされる分野の相談を受けることもある。難易度の高い依頼を受けるのは、職人の研磨技術をさらに高め、世界に負けない挑戦心を育てるためでもある。同社の追求しているのは、安定したロット数の受注でも効率的な生産体制でもない、彼らが求めているのは難研削への「挑戦」だ。そんな依頼を寄せてくれる国内外のチャレンジャーを、彼らは探している。

Ohori Grinding Company

有限会社大堀研磨工業所
業務内容 各種精密機械部品研磨加工
〒504-0842 岐阜県各務原市蘇原寺島町1丁目9番地
代表取締役 大堀 憲
設立 1962年
従業員数49名
http://www.ohorikenma.co.jp/