brand new technology for stamplinf technology WARISAKI

金型設計製作、トランスファ-.順送.単発プレス加工、 溶接 部品組立加工

株式会社 関プレス  View Company Info

茨城県日立市の精密プレスメーカー、株式会社関プレスは、金属をチーズのように裂く、割裂(わりさき)と呼ばれる世界唯一の金属加工技術を工法として確立し、大きな注目を集めている。
開発期間はわずか3年足らず。2011年3月の東日本大震災で直面した危機を乗り越えるため、独自開発に取り組み始めた。
社員85名の地方の製造メーカーが、世界的な注目を浴びる技術開発に至った経緯や、独自の開発ポリシーをお聞きした。

世界唯一の新技術「割裂(わりさき)工法」が秘めた可能性

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貴社は、世界で唯一の工法特許をお持ちと聞きました。どのような技術なのですか?
関社長:板やコイル、棒状になっている鉄、銅、アルミ、ステンレス、真鍮などの金属素材を、プレス金型を用いて割って裂き、2分割、3分割にする工法です。「割裂(わりさき)工法」と言う名称で、工法自体を特許として取得しています。
割裂工法が優れている点を教えてください。
関社長:大きくは、2つのメリットがあります。強度の向上と工程の短縮です。三次元形状の金属部品を例に考えてみると分かりやすいです。従来は、2ピースの素材を、ろう付けや溶接で接合して追加工していました。この方法では接合部の強度がどうしても劣るので、使用できる用途が限られています。強度を上げる為に、鍛造で加工する方法もありますが、工程数が増え熱処理が必要になります。「割裂工法」であれば、打ち抜いた素材に接合部を作ること無く、三次元形状に加工できます。今まで金属プレスでは不可能だった、複雑三次元形状の一体成型を、材料を順送りしていく順送型の金型内で完結する事も可能になりました。強度アップと品質向上、コストダウンを同時にクリアー出来ると言うことです。
従来工法と割裂の生産コストを比較したいのですが。
関社長:通常のプレス加工より金型のコストが上がりますが、加工時間の大幅な短縮と省エネ効果で、従来工法と比べて50?80%のコストダウンが可能になります。また、従来の金属プレスに比べ、大幅に作業工程を削減できる点が大きいと思います。打ち抜いた材料をそのまま最終形状まで加工出来るので無駄が少なく、原材料費を抑えることが可能です。鍛造のように、熱処理の必要もないので、電力消費も抑えられます。

他には、どのような用途がありますか?
関社長:異種金属の板材を接続する際にも、「割裂」は有効です。薄い鋼板で自動車のボディーを作る工程に導入が可能です。従来はお互いの素材の片面同士を貼り合わせて溶接かネジ締めを行っていました。「割裂」を使えば、母材の端をY字に分割し、もう一方の素材を中に挟み込んで加締で接続することが出来ます。接着面積が2倍に増えるため接合強度が飛躍的に向上します。また、母材と異材の芯が揃うので、物理的な強度向上も期待できます。
異種金属接合は、自動車以外にも電源回路への応用が可能です。強度が求められる建築材料への展開も始まっています。現在、弱電、重電、医療、航空・宇宙、光学・電子などさまざまな業界から、問合せや引合いを頂戴しています。
「割裂工法」の量産性について教えてください。
関社長:割裂導入で得られる大きなメリットの一つが、量産性の向上と品質の安定化です。複雑な三次元形状の一体加工の際に、金属プレス加工では困難だった「順送金型」を使って、打ち抜いた素材を一つの工程で最終形状まで加工することが可能になりました。作業者の技術差が品質に影響しやすい異種金属の接合も、安定して量産化することが可能です。

0.8mm薄板材の分割で量産実績

現在、研究開発中の内容を、聞かせてください。
関社長:高張力鋼板やチタンなど難加工材への「割裂工法」適用に取り組んでいます。厚み0.8mmの分割まで量産化に成功しており、現在は0.1mm厚の薄板分割にも挑戦しています。まだまだ、開発間もない技術なので、我々の考えの及ばない分野にニーズがあるかもしれません。お客様から「こんな事はできるのか?」とさまざまな要望をお聞きして、実際にトライしながら試行錯誤で応用展開を探っている状況です。
「割裂」の導入でメリットがある産業分野はありますか?
関社長:取引先の声に耳を傾けていると、今後はさまざまな産業分野で、製品のコスト低減と軽量化が一層進むと予測しています。既存の技術では、これ以上の改善は難しいレベルに達しています。「割裂工法」を使って、切削加工品のプレス化、複雑形状品のプレス化、大電流回路の接続、薄板溶接品のプレス化などを具体化することで、こうした市場の困難な要求を、実現することが出来ると考えています。全く前例のない技術ですので、あらゆる分野に導入の可能性があると考えています。

震災の混乱から生まれた、逆転の経営判断

御社の沿革と得意分野について教えてください。

関社長:当社は、1950年創業の精密プレスの専門メーカーです。社内に金型開発の部門を持つことが特徴で、自動車産業との繋がりが深く、国内の主要自動車メーカーや電装メーカー全てに製品供給の実績があります。また、建設機器、OA機器、医療機器、弱電機器向けにプレス加工品を供給しています。世界一厳しいと言われる日本の自動車メーカーの品質要求に応えながら培って来た技術力が、現在の弊社を支えています。
開発に至った経緯を教えてください。
関社長:東日本大震災による影響が大きいですね。工場が大きく被災し、一時的に生産がストップしました。数週間でうちの工場は復旧しましたが、お客さんが別のサプライヤーを確保したため、震災以前の売上げに戻すことが難しく、厳しい経営環境が続きました。当時は余震が続いていたので、お客さんがリスク回避の為に二社購買を始めたのです。こればかりはどうにもならないと思い「絶対にお客さんがうちを離せなくなる方法は何か?」と模索するきっかけになりました。

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それで,他社に無い技術の開発をスタートされたということですか。
関社長 その通りです。うちにしか出来ないオリジナル技術の必要性を感じ、開発のスイッチが入りました。当時といえば、周囲の工場は、震災による混乱が落ち着くのをじっと待っている状況でした。うちは早々に新規開発の為の設備投資に切り替えて、あたらしい機械の導入や工場の改築をはじめました。「関プレスが、こんな時期におかしなことをはじめている」と,近隣で噂になっていたそうですよ。この時私は、周囲とは全く逆の判断を行ったのですが、目に見える実績を残すことが出来、経営者としての自信に繋がりました。

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割裂開発のインスピレーションはどこからきたのですか?
関社長 2011年3月に起きた震災の直後、私が会社で鉄の端材を拾って自宅に持ち帰って眺めていたら、5歳の息子が「パパ、鉄もチーズのように裂けると良いね」と話しかけて来ました。(日本では、繊維状に裂けるチーズが、流行している。)「裂けるわけないよ」と思いつつも「出来たら良いね」と息子に返しました。この時に感じた、鉄を「割る」「裂く」というイメージを実現できたら面白いなと思い、笑われるのを覚悟で技術スタッフに話してみました。彼らが予想に反して「面白そうですね。やってみましょう!」と乗ってくれたので、割裂の開発が始まりました。地方のプレス会社が、開発開始から2年で独自技術の特許を取得したのが異例だったらしく、特許庁から担当官がわざわざ見学に来たこともありました。

世界の課題に挑戦する、次の一歩

すでに新しい取り組みも始めているとお聞きしましたが、いかがでしょうか。
関社長 私の経営理念は「技術無くして、未来無し」です。実際に、「割裂」を土台にした新しい開発もすでにスタートしており、そろそろお披露目できると思います。
また、「割裂」を世界展開させて行きたいと考え、急ピッチでグローバル化を進めています。台湾とベトナムに事務所を開設し、ベトナム・ハノイ近郊には新しい生産拠点となる関プレスベトナム(SPCV)を設立しました。そこから「割裂」を世界へ広めたいと考えております。海外取引を円滑に進める為、英語や中国語が堪能な技術スタッフを積極的に採用しています。
最後に、これから御社と取引をしたいと考えているお客様にメッセージをどうぞ。
関社長 「割裂」は、世界中どこにも存在しなかった新しい技術なので、私たちが提案出来る導入例は、ほんの一部に過ぎません。そして「割裂」がメリットをもたらすテーマは、世界中のあらゆる産業分野にあると考えています。ですので、皆さまがものづくりに関する新しいテーマをお持ちの場合は、「割裂を使ってこんな事ができないだろうか?」と積極的に声をかけて頂きたいと願っています。
お客様と共に新しい課題に挑戦し、いままで世の中に無かった価値を生み出すことが、私たち関プレスの使命だと考えています。世界最新技術 「割裂」は無限の可能性を秘めています。「我々の持つ”割裂”を使って、御社のどんな課題が解決できるでしょうか?」

株式会社 関プレス

業務内容:各種金型設計製作、トランスファ-.順送.単発プレス加工、 溶接 部品組立加工
代表取締役社長:関 正克
設立:1950年5月
資本金:4,200 (万円)
従業員数:85名
品質規格:ISO9001
本社工場:316-0013 茨城県日立市千石町4丁目3番20
TEL : 0294-36-0300
FAX : 0294-34-5947?
金型事業所: 茨城県日立市久慈町2-36-21
常陸太田工場: 茨城県常陸太田市和久町1495
ベトナム(ハノイ)事務所: 2A,S1K5,11XUAN DIEU,QUANGAN,TAYHO,HANOI,VIETNAM
台湾事務所: 2F NO.75, Wenhwa 1st. RD., Lohshan Vill, Kueishan, Taiyuan County, 333, Taiwan, R.O.C Seki Press Vietnam (SPCV)
所在地: Dinh Tram Industrial Park Dong Van, Viet Yen District, Bac Giang Province, Vietnam
Capital: 1,000,000 USD
株式会社関プレス様へお問い合わせをご希望される企業の方は、直接上記の連絡先までご連絡をお願いします。お問い合わせの際はインデックスライツのポータルサイトをご覧になられたとお伝え下さい。