Casting processing of metals, three-dimensional NC processing, CAD/CAM modeling, NC lathes

三次元NC加工、倣い加工でのモデル・金型の製作

有限会社伸和工作  View Company Info

機能や意匠を追求した設計デザインを、いかに量産に落とし込むのか。この難題に取り組む中小企業が、長野県伊那市にある伸和工作だ。
最新鋭機と50年前の旋盤を使いこなす、鋳造・切削加工のスペシャリストである。鋳造方案の検討から切削加工まで、一貫して請負い、CADのモデリングも社内で対応するスピード感が特徴だ。最新鋭のマシニングセンターをコンピューター制御し、職人の勘と指先の感覚で、操業当時の旋盤を自在に操る、独自の技術体系を追求した彼らの現場に迫った。

新興企業には真似できないコストダウンのノウハウ

– 御社の事業内容について教えてください
宮沢社長 創業の1964年以来、金属加工に取り組んでいます。現在は、アルミを中心とした鋳物加工と三次元NC加工を中心に行っています。汎用旋盤、NC旋盤やマシンニングセンターを複数台導入しています。鋳造方案の検討から、木型、金型製作、切削加工まで一貫して請け負っています。CAD/CAMのモデリングも社内で行っています。鋳物の製作は、非常に高い技術を持った協力工場と連携しておこないます。金型や木型の製作、加工は弊社で内製しています。

– 御社の強みの一つに、スピードを上げられていましたが?
宮沢社長 我々は、鋳造工程と切削加工工程をトータルでオペレーションしています。鋳造工程と、あとの切削加工工程を一貫してとらえて最適化をはかるため、鋳造と切削加工を個々に行う工業者よりも大幅な納期短縮が可能な体制にあります。もちろん、最新のマシンを複数台運用している事が、スピード化の裏付けになっています。

– 取り扱いは、どういった金属が多いですか。
宮沢社長 アルミの鋳物製品の加工が増えています。最近は、産業用ロボットのアームや各種工業製品の取り扱いが多いです。
産業用ロボットであれば、高速稼働や省エネ化が進んでいるので、1つ1つのパーツの軽量化は、世の中の大きな流れになっています。「薄く、軽く、丈夫に」といったニーズに対し、鉄より軽量で樹脂より丈夫なアルミが好まれているのだと思います。ハイブリットカーの電装設備に関しても、強い軽量化の要求があります。自動車関係は特に、肉薄で複雑な形状の加工が増えている印象です。

– 薄くて複雑な形状の製品を加工する際に、御社ではどういった工夫をされていますか。
宮沢社長 弊社は社内に設計者が3名います。
お客様から加工の依頼があった際、そのまま型に起こして加工を行うのではなく、加工上問題のある箇所の見直しや強度を勘案して、形状の提案を行います。この際も、製造側の都合で加工しやすい形状に崩すのではなく、お客様のデザインや意匠の方向性を活かしながら、必要最小限の変更で最大限の効果を狙った提案を行います。

– 加工前に、方案の検討や図面の検討を入念におこなう理由を教えてください。
宮沢社長 納期短縮と、コストダウン、それに品質向上です。

– 検討を入念に行ったり、図面を見直すと、時間がかかってコストが上がってしまいませんか?
宮沢社長 一時的な納期やコストだけではなく、量産化もふまえたトータルの納期やコストで考えてください。特に海外の加工業者で短納期を謳うところは、こうした図面の精査や検討を簡素化したり全く行わず、依頼された形状でそのまま鋳造、加工している所が多く見受けられます。一見、納期が早いように感じられますが、量産加工時に歩留まりが悪くなったり、製品としての強度が出ないのであとから設計変更を行うと言った話を良く聞きます。時間とコストを抑えたいのであれば、最初の段階で徹底的に問題を洗いだし、加工のプロフェッショナルの目で見たマイナス要因を潰しておくことが大切です。

– お客様から来た図面精査する際、3D図面をわざわざ2D図面に落とし込んで検討することもあると聞きましたが。
宮沢社長 最近は、3次元の複雑な形状の依頼が増えています。
不等ピッチの開口が並ぶ楕円形の部品の切削など、お客様から来た3D図面を見ても、刃の軌道を把握することは困難です。そう言う場合は、一度2Dの図面に落とし込んで、加工の手順や形状の最適化を必ず行うようにしています。そうすることで、加工の際の刃の動きを見直したり、極端に肉の薄い部分や不要なダボが残っているのを見つけてお客様に形状提案することが出来ます。複雑だからと言って、図面を理解せずにマシンににそのままインプットするのではなく、かならず加工内容を1つ1つバラバラに因数分解して、動作を理解するように努めます。
自分がわからないことを、機械に任せない。これが大切なことだと感じています。

– ほかにも、納期短縮やコストダウンの工夫はありますか?
宮沢社長 切削加工時の治工具の選択と工夫は大切な要因です。
我々は、ここを徹底的に詰めます。製品を固定する治工具の精度が悪いと、加工したい部材を上手く掴めず歪みや誤差が発生します。
最新のマシンを使って全自動で加工しているのに、図面通りに出来なかったり歪みが生じるのはそう言った理由です。精度の高いマシンを使う上で、製品を正確に固定することは大変重要な要素です。また、材質や形状に合わせた刃先の選択も、仕上がりに大きく関わって来ます。こうしたノウハウの蓄積が、我々の強みです。

高性能のマシンが普及してきたからこそ、必要となる知識

– 高度に自動化したマシンが普及してきたからこそ、経験や職人的なノウハウが重要なんですね。
宮沢社長 そうなんです。最近の旋盤やマシニングセンターは、驚く程自動化が進んできました。
データをインプットして材料をセットすれば、あとは全部機械がやってくれるように、みなさんが錯覚しています。しかし、機械は与えられたインプットに従って動いているだけで、自分で最適化したり不具合を回避したりは出来ません。工夫のないオペレーションは、それなりの品質しか生み出しません。
機械の性能を引き出して製品の品質を上げるのは、あくまで「人」であり、成否を握るのは「経験と知識」なのです。

– 御社では、最新鋭の自動機の横で、博物館の展示品のような汎用旋盤がピカピカにメンテナンスされて、現役で稼働していました。どうしてですか。
宮沢社長 そうですね、弊社の創業時から稼働しているマシンが、現役で2台動いています。
新しい機械を使えば、そのまま品質が良くなると言うわけではありません。機械が苦手な動き、プログラムで制御できない微妙な手加減がより良い結果に繋がる場合もあります。内容によっては、古い汎用旋盤のほうが上手く機能するケースもあります。我々は、どういったか加工に、どの機械やどの治具が適しているのかを経験的に理解している事が重要です。

困難な案件を積極的に引き受ける理由

– 難しい案件にも積極的に取り組む社風だとお聞きしましたが?
宮沢社長 好きなんですよ。挑戦する事が。難しい案件ほど、意欲的に取り組んでくれる職人や技術者がウチにはたくさん居ます。先日も、他社で断られたと言う難しい形状の自動車部品の案件がウチに回って来ました。わたしが、ひとまずその案件を受けても良いか相談しようと技術者の元へ行くと、「しょうがねえなぁ」と言いながら、嬉々とした表情で目を輝かせる彼らの姿がありました。結果的に、お客様にいくつかの提案を行った上で、当初の要求以上の内容に仕上げて納品することが出来ました。

– 御社がものづくりにかける情熱の原点とはなんですか?
宮沢社長 現在、世界中のものづくりの現場を見渡すと、機能や意匠を追求したすぐれたデザインが、多数生み出されています。しかし、加工現場の経験不足や、機械に頼りすぎる慣習のおかげで、こうした優れたデザインを製品に反映することが出来ず、現場の都合で生まれた妥協の産物を多く目にすることがあります。
我々は、こうした無理難題をクリアーし、世の中に優れた製品を提供することを目指しています。
鋳造から切削加工までをトータルで提案できる加工のプロフェッショナルとして、お客様の期待通りではなく、期待以上の結果を提供することに喜びを感じています。
日本のロボット産業や自動車業界との取引で蓄えたノウハウを元に、世界のお客様が抱える難問に挑んで行きたい。これが、我々の新しい挑戦です。

有限会社伸和工作

業務内容:三次元NC加工、倣い加工でのモデル・金型の製作
代表取締役社長:宮沢秀明
本社住所:長野県岡谷市天竜町3-6-1
箕輪工場住所:長野県上伊那郡箕輪町中箕輪1726-2
電話番号:0265-79-7919(代表)
FAX:0265-79-7986
設立:1964年
従業員数:15名
オフィシャルウェブサイト:www.sinwakosaku.co.jp/
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