農業用機械のトランスミッション部品の製造

長年蓄積された伝統の技術を誇る「技術者集団」

日本でもトップクラスのシェアを誇る大手農機具メーカーから、1枚の図面が株式会社テクニカルミヤマエに送られてくる。素人目には、農機具のどの部分に使う部品なのか、その使用目的などもさっぱりわからないものだ。しかしその1枚の図面を見ただけで「部品完成までの工程、必要な冶具の形状や種類、難易度、完成までの大体の時間…など一瞬でイメージできます。」と話すのは、株式会社テクニカルミヤマエの代表取締役社長の振川安功氏だ。
図面を見ながら従業員が「こういう加工をこういう順番でやるために、こんな冶具が必要で…」などと立ち話で相談している姿は、このテクニカルミヤマエでよく見る光景だ。振川氏は「長年ものづくりに精進していく中でノウハウとして蓄積された、”あたりまえのこと”だと思います。」と話すが、メーカーにとってはとても頼もしいパートナーであることは間違いない。同社が製造するトランスミッション部品のシフトフォークを製造する過程では、同社従業員のアイデアやアドバイスにより、工程を集約化できる全くオリジナルの加工冶具が生み出されたそうだ。

農業用機械のトランスミッション部品の製造を手がけるプロフェッショナル
その技術は、長い時間をかけ伝承されていく

株式会社テクニカルミヤマエでは、トラクターや田植機、コンバインなど農業用機械のトランスミッション部品の製造を行っている。シフトフォークやケース・カバーなどの機械加工や、フォークシャフトや他ロッドなど丸棒の長尺品の機械加工が得意分野だ。
同社は昭和27年（1952年）に創業し、昭和48年（1973年）に法人設立、平成14年（2002年）に現在の福井県坂井市坂井町に本社を移転。移転を機にそれまで長年勤めていた熟練の技術者の何名かが高齢を理由に退社するも、プロとしての技術や知識はそのまま残る従業員に引き継がれることとなった。現在、社の従業員の平均年齢は約34歳。従業員の中にはベトナムからの研修生も含まれる。

福井から東南アジアへ
そしてその先の世界へ

テクニカルミヤマエでは現在、ベトナムからの研修生3名が日本人に混じって働いている。「弊社は主に農業用機械の部品を製造しています。農機具メーカーも、今最も注目している地域は東南アジア。海外からの技術提供も実を結び、東南アジアでの農産物の生産技術は年々向上しています。お付き合いしているメーカーもタイだけで年間4,000台～5,000台もの農業用機械を販売しているそうです。わが社もベトナムからの研修生を積極的に受け入れ、現在3名のベトナム人が働いています。3年間、一緒に働いてきてベトナムに帰国した元研修生もおりますし、彼らとともにベトナムを足がかりにした業務提携ができないかと思っているところです。」と振川氏。何度かベトナムを訪れ、日本での研修を希望するベトナム人のための教育施設を見学したりしているそうだ。ベトナム、そしてシンガポールといった東南アジアから海外戦略を考えているという振川氏。日本国内にとどまらず、世界に向けその技術力をアピールする機会はそう遠くないのかもしれない。