Synthetic marble wash basin with handrail

人工大理石製品の設計、製造、販売

株式会社タイメック  View Company Info

人工大理石製品メーカーのタイメックは、独自の発想で高齢者や障がい者、車いす利用者に優しい手すり一体型洗面台を開発した。
ユーザーにとって使いやすく、見た目も美しい人工大理石の洗面台は、急速な高齢化社会を迎えた先進国?
日本の現場での介護経験と、日本人ならではの気遣いの精神が生み出したプロダクトだ。厳しい品質管理によって安全性と耐久性も兼ね備えた同社の製品は、病院や介護施設、大型商業施設から一般住宅まで、使用環境を選ぶことなくその利用が広がっている。

父の介護経験を経て、手すり一体型との必然の出会い

手すり一体型洗面台は、同社が得意とする人工大理石を素材とした洗面台に、手すりが付属した設計となっている。
製造過程で洗面台の前部に穴を空けて手すりを加工し、洗面台そのものを掴んで利用できるアイデア商品だ。従来の取り付けタイプの介護用手すりは、洗面台に向かってタテ方向に設置されるため、掴んだ際に身体を支える前方への力が入りにくかった。
一方、一体型は、身体に対して平行なため前方への力が入りやすく、身体を支えるのが容易だ。見た目に違和感がなくすっきりとしたデザインで、後付けする必要がないためコスト面でも優れている。

実はこの製品は、タイメック社長の棚橋雄二(Tanahashi Yuji)の介護経験によって生み出された。
以前、棚橋の父が病気のため首から下が不随となり、棚橋ら家族は突如、父の介護をしなければならない状況下に置かれた。幸い父の病状は回復に向かったが、その際、棚橋は介護する側と介護される側の苦労を痛感したという。
『介護される側は、人に迷惑をかけたくないので、できるだけ自分の力で動作を行おうとします。しかし、家庭内で自ら「立つ」ことがままならない場面が多くありました。被介護者が少しでも自立できることが、介護する側とされる側、両方の苦労を和らげることを知り、製品の開発につながりました』と、棚橋は当時を振り返る。

「一言で言えば、弊社の製品は既存の洗面台に手すりが付いているだけです。しかし、その洗面台に少しのひっかかりがあるだけで、機能がまったく違ってくる。握力のない方でも手をかけて、自らの身体を支えることができる。その上、洗面台と一体なので見た目にも美しい。さりげなく、しかし確実に誰かの役に立つ製品を造りたかったのです」と、棚橋は日本人らしい謙遜を込めて話す。「このアイデアをひらめいた時は、世に出さずにはおれない、この製品なら世の中に貢献できるに違いない、そう直感しました。私にとっては偶然ではなく、必然の出会いでした」。

日本人らしい気遣いが、障害を持つ人にも、持たない人にも優しい。

ユニバーサルデザインを実現

タイメックの洗面台は、足下が広いのも特長だ。シンクが浅めに設計され、車いすに座った人の足が洗面台の下部にぶつからないように工夫されている。さらに使いやすい電動の昇降式洗面台もラインナップ。使いやすさと安全性にも配慮し、キャビネットの端部にはソフトエッジを使用し、角面は丸みを帯びたR設計仕様に。汚れがつきにくく、メンテナンスの際に少ない力で楽に掃除できるよう、フラット設計とした。手すり一体型製品は、同社が他に製造するキッチンや、カウンターなどにも応用されている。

タイメックは、こうした障害を持つ人にも、持たない人にも優しいユニバーサルデザインを心がけている。ものづくりの国?日本の製造現場の勤勉さと熱意、高齢化先進国である日本の介護現場が積み上げてきた経験、そして日本人の他人を気遣う心が、タイメック製品の核をなしているのだ。

人工大理石製造に35年以上の経験、設計から製造?仕上げまでを自社工場内で一貫

人工大理石は、数十年前から大理石の代替として普及してきた素材だ。メリットは、高級な質感を保ちつつ、加工?施行が容易なこと。
タイメックは、その製造に35年以上の歴史を持ち、人工大理石全般について豊富な知識と経験を有するメーカーだ。洗面台の他に、オーダーメイドのカウンターも生産し、国内大手ファーストフードチェーンのレジカウンター、大型商業施設や病院のカウンター、コンビニチェーンのトイレなどで採用実績を伸ばしている。

人工大理石には、アクリル系とポリエステル系の2種類の素材が用いられる。アクリル系は、板状の素材を切断、穴明け、接着し成型する製品で耐衝撃性や耐久性、耐熱性に優れている。一方、ポリエステル系は、混ぜ合わせた原料を型に流し込んで成形する方法で作られるため、大量生産が可能で製造コストが低い。
タイメックは、中小企業としては非常に珍しく、長年の経験によりアクリル系とポリエステル系の両方を一から製造する能力を培ってきた。商品の設計、型の製作、製造?仕上げまでを自社工場で一貫して行うことで、納期の短縮、コスト低減、そして品質の向上が同時に可能となり、競争力を高めている。

特に、オーダーメイド製品の受注の際にはその実力を発揮する。型造りから社内で行うため、顧客の細かなニーズに合わせた設計と施行、仕様の改善を得意とし、納期も驚くほどの短い。小回りを生かし、洗面台やカウンターは1台からでも受注生産している。棚橋は、「人工大理石を使ったものであれば、あらゆる製品の設計?開発から量産化まで対応します。ユーザーとコミニュケーションを取りながら、スピーディーに設計、製造するのが弊社の特長です」と強調する。」

過剰なほどの品質追求で世の中に貢献、世界標準を先取りする

タイメックの工場では、品質は徹底して追求される。棚橋は、「品質は米国の有名大手メーカーにもひけをとらないと自負しています。手すりの安全性は、繰り返しテストし、細長い手すりでも耐荷重150kgを確保しました。また、仕上げの際に洗面台の裏面を磨いたのは、タイメックがおそらく世界ではじめてだったでしょう。車いすに乗った方が洗面台を使う場合、足がシンクの下部に当たることがあるため、外からは見えない裏面の品質まで配慮しました」と説明する。

Timec image08

こうした過剰とも言える品質管理だが、いずれは世界標準となる可能性があると、棚橋は見通している。「中国など成長著しいアジアの国などでは、若年層の人口が多いため、現在は人海戦術による介護がまだ普通です。しかし今後、各国で高齢化が進めば、自立を支援する製品やユニバーサルデザイン、そして製品そのもの安全性がより重用視される流れになると思います。そうした時代を他国に先駆けて迎えつつある日本の製造現場で、タイメックができる役割を果たし、新しいアイデアと品質のさらなる向上でこれからも世の中に貢献していくつもりです」。

株式会社タイメック

業務内容:人工大理石製品の設計、製造、販売
代表取締役社長:棚橋雄二
住所:岐阜県関市武芸川町八幡7-1
電話番号:0575-45-2027
FAX:058-322-5382
E-mail:kenzai@timec-g.jp
設立:1969年
従業員数:64名
オフィシャルサイト:www.timec-g.jp/kenzai/
株式会社タイメック様へお問い合わせをご希望される企業の方は、直接上記の連絡先までご連絡をお願いします。お問い合わせの際はインデックスライツのポータルサイトをご覧になられたとお伝えください。