Electrochemical Machining Electrode, Micro Heat Exchanger

チタン材料販売・受託加工・製品販売

株式会社東京チタニウム  View Company Info

わずか内径Φ2mm、板厚0.3mmの極細径、極薄のチタンチューブ。驚くべきことに223本ものチューブが、Φ60mmの管板に人の手で、電極にタングステン、シールドガスにイナートガスを使用し、TIG溶接されるという。主に半導体や液晶関連設備で、純水・超純水の温度コントロールに用いられる超小型シェル・アンド・チューブ式マイクロ熱交換器(MHE)。開発当時、加工が困難なことから他に類を見なかったというこの「純チタン+TIG溶接」の熱交換器を、自社独自の高い技術力で実現したのが株式会社東京チタニウムだ。
分業が一般的とされるチタン業界にあって、材料、加工、開発を一貫して手がける、世界でも2、3社のみという、非常に珍しいチタン専門企業でもある。

半導体、液晶業界が必要としていた純チタンの熱交換器

半導体や液晶の製造において、純水・超純水の温度コントロールは欠かせないものだが、2004年当時、主に使われていたニッケルロウ付プレート式熱交換器やテフロン製熱交換器は、純水へのニッケルロウの溶出、サイズの巨大化といった問題を抱えていた。
東京チタニウムが熱交換器の開発に取り組むことになったきっかけは、協力企業から半導体に関わる提案を受けたことだったという。チタンは高い耐食性があり、イオン化しにくい特性がある。さらにテフロンと比較した場合、チタンの熱伝導率は圧倒的であり、サイズの小型化も実現できるためだ。チタン製の熱交換器は、純水・超純水を使用する半導体、液晶業界が必要としている製品だった。

しかし開発を始めると、パイプに納めるチューブの小径化で、チタンの特性である加工の難しさが壁となって立ちはだかった。既存の大径のチューブを利用することも考えたが、その場合、待っているのは、熱伝導率の低下、コストの増加という結果だ。東京チタニウムはあくまでも部品の小型化を目指し、技術開発を進めた。そして、遂に内径Φ2㎜、肉厚0.3㎜のチューブを製造することに成功した。ただ、製品化にはまだ超えなければならない大きな課題が残っていた。それはこの極小径・極薄のチューブを、管板に複数本TIG溶接しなければならないことだった。

僅か0.1mmを溶接する職人の精密な技術

TIG溶接は高品質な溶接加工が出来るが、非常に高度な技が求められる溶接方法でもある。なかでもチタンは高温で酸化しやすいことから、特に難しいとされている。
チューブと管板を溶接できる範囲はわずか0.1㎜。しかもΦ60mmのなかに223本ものチューブを TIG溶接する。その極めて繊細な溶接を可能にしたのは、自社の職人の優れた溶接技術だった。
後に、東京チタニウムは、専用の自動溶接機の開発にも取り組むが、そこでも職人の技術は不可欠なものだった。職人が溶接を何百回と繰り返す中で蓄積したデータを注ぎ込み、さらに職人が治具で工夫を加える。そうした試行錯誤を繰り返し、ようやく専用溶接機は完成した。

「純チタン+TIG溶接」による超小型シェル・アンド・チューブ式マイクロ熱交換器(MHE)は、東京チタニウムが独自に開発した製品だ。ところが、実はTIG溶接でなくても同様の熱交換器は製造可能なのだと、東京チタニウムの小澤良太営業部部長は言う。では、何故TIG溶接だったのか。「エレクトロビームやレーザー溶接でも製造は可能です。ただTIG溶接とは異なり、セッティングに時間がかかりコストも高くなります。またTIG溶接であれば、様々な形に溶接できるので設計の自由度が高くなる。長さやチューブの本数を容易に変更でき、高性能化や大流量化など、ニーズに柔軟に対応できる。これらを可能にするために、TIG溶接である必要があったのです」
見方を変えれば、エレクトロビームに求められるほど精密な溶接加工を、職人の腕で行っているということだ。「チタンの溶接は非常に難しい。長年自社が培ってきた独自のノウハウもありますが、やはり最も大きい割合を占めるのは職人の腕です」と小澤部長は話す。

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公差±0.01mmを可能にする誇り高きものづくり

東京チタニウムでは、先に挙げた熱交換器分野に加え、医療、海洋関連、発電関連分野で製品開発を行っている。このうち発電関連分野の電解加工用チタン電極(ECMチタン電極)は、今後、海外での販売に力を入れていきたい製品のひとつだ。
ECMチタン電極は、発電関連で用いるガスタービンのタービン翼に、電解加工用電極による冷却穴加工を行う際に使われる。東京チタニウムでは、これを技術力のある中小企業と連携し、製品開発を行っている。

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品質で重視されるのは、極細長いチタンパイプの同心度の高さ、内外面の表面品質、さらに真直度だ。東京チタニウムは、この品質に対して絶対の自信を持つ。パイプの穴は伸管引き抜き加工により、公差±0.01mmという非常に高い精度を確保する。真直度管理は各工程で全数検査を行い、1本、1本、人の目で確認し、僅かな歪みも見逃さず、人の手で丁寧に矯正している。また、顧客の細かな要望にも応えられるよう、基本のサイズ展開以外にも、パイプサイズ外径Φ0.2mm、厚さ0.015mm、長さは1200mmまで対応できる態勢も整えているという。

この製品に対する海外からの問い合わせは多く、海外の発電関連企業が、その技術とクオリティに高い関心を持っていることを感じているという。

材料、加工、開発を一貫して手がける強みを持つ、世界でも2、3社という、非常に珍しいチタン専門企業

東京チタニウムは、種類、量ともに豊富な在庫を揃え、近接する工場で加工を行い、小ロットにも対応したタイムロスの無い短納期を実現している。
図面通りの見積もり回答に留まらず、チタンのスペシャリストならではの、プラスワン提案を行っている。過去の事例では、加工法を切削から鍛造加工のスエージングへ変更することで、コストを26%削減しながら、強度を20%アップした。チタンを熟知した上、長年蓄積した加工のノウハウまで持つ東京チタニウムだからこそできる提案といえる。

世界で発揮する優位性と強

チタンは分業が一般的なことから、業界的にタイムロスは避けられないと考えられているが、一切のロスが無い東京チタニウムは、海外でも納期で決して引けを取らない。製品によっては「アメリカ国内の取り引きよりも、我が社の方が加工も含め短期でアメリカへ納品できます」と小澤部長は自信を見せる。
チタンがおかれる現状を、小澤部長はある意味「悪循環」と見ている。価格はステンレスの約6倍、それゆえ製品開発は活発化せず、結果として価格は高止まる。しかし厳しい業界だからこそ、東京チタニウムの存在は際立っている。材料、加工、開発の一貫体制と、細かなニーズに柔軟に対応できる優れた職人の技術力は、世界でもその優位性と強さを発揮するに違いない。

株式会社東京チタニウム

業務内容:チタン材料販売・受託加工・製品販売
住所:埼玉県さいたま市岩槻区古ヶ場2-3-10
電話番号:048-795-0470(代表)
FAX:048-795-0473
代表者:小澤日出行
創業:1982年
従業員数:30名
オフィシャルサイト:www.tokyo-titanium.co.jp
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